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散歩しながら  作者: 崎昌
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そうぞう

暇だったから。僕はぶらりと外へ出た。クロックスにシャツに短パン。日が暮れて涼しくなった外は夜風が吹いて心地よい。ハンカチで汗を拭く帰宅中のサラリーマンと反対方向に進む。ヒグラシの音色に耳を澄まして。でも時々足元で寝そべる蝉に怯えたりしながら歩く。とても穏やかな時間。この空気の一部に自分も溶けてしまったようだ。

僕は日本が好きだ。こんなに穏やかで住みやすい国はあるのか。時々思う。春の日差しが好きだ。夏の蝉の鳴き声も好きだ。秋の寂しさも好きだ。冬の朝の寒さが好きだ。

あの子が好きだ。あの子の仕草、声、性格、笑顔も好きだ。

お母さんの作るご飯も味噌汁も好きだ。焼き魚も玉子焼きも好きだ。肉じゃがも野菜炒めもパスタも好きだ。



僕は僕が好きだ。不器用で神経質で時々むきになって怒ったりするところも、面倒くさがりなところもだらしがないところも、好きだ。生まれ変わってもまた自分でいたい。そんなことを考えながら歩く。申し分のないくらい平和で暮らしやすいこの国でも毎日のように不満が出てくる。でもこうして散歩しているときはそういった毎日のことを心の中で謝ったりする。


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