仮面
「なるほど、そういうことか」とドレイケンが尋ねた。
「ええ、そういう経緯です」とレベッカは説明した。
「ハハハ、モギ、お前は本当に馬鹿だな」とドレイケンは笑いながら言った。
「死にたくなければ、黙ってろ、このクズ野郎」とモギは苦痛に呻いた。
「まあ、残りは俺が片付ける。お前は休んでろ」とドラケンは言い残して去っていった。
「また奴と対峙できると分かっているのに、どうやってじっとしていられよう? 奴はこの場所に居るんだぞ」とモギは血を吐きながら言った。
ドラケンは外で競売場を探し、コウキを探していたが、筋肉質のギャングに遭遇する。男はドラケンを見て激怒した。
「くそったれ!お前が全員殺し損ねた奴だろ!」と筋肉質の男が叫んだ。
ドラケンは親指を噛み、能力を発動させる。両手に肉切り包丁を出現させると、視界が歪んだ。
相手を解体すべき豚と認識したドラケンは、男が銃を抜くのを許さず、引き金を引く間もなく全身を切り刻んだ。
「馬鹿め、隠れるべきだった。豚をステーキにする男に正面から挑むな」とドラケンは能力を解除し、男を葬った。
ナレーター:「こちらはポートマフィアのもう一人のメンバー、木村ドレイケン。モギやレベッカを上回る、組織内8位の強さを誇る」
「彼はスーパーノヴァ解放出身で、能力は肉切り包丁を創造すること。能力発動時に全ての人間を豚と呼ぶのは、彼にある契約があるからだ」とナレーターは続けた。
「彼は次のような条件で契約を結んだ。能力を発動するたびに『屠殺の死の技』が発動し、肉はもちろんあらゆるものを切り刻む熟練の屠殺師へと変貌する。危険な存在だ」とナレーターは続けた。
「契約条件の副作用として、この強力な技を発動するたびに代償が発生する。技を発動した瞬間、周囲の者全てが豚のようになるのだ」と語り手は続けた。
「肉屋にとっては有利に思えるし、実際そうだが、問題はこれによって敵味方の区別がつきにくくなることだ。だからこそ、レベッカとモギが来た時、彼らが誰か分からず攻撃してしまったのだ」と語り手は説明を締めくくった。
ドラケンは廊下を進み、階段へと続く扉に辿り着くと、階下へ降りて外へ出た。モギを助ける者を探すためだ。
しかし退出直前、正面玄関の扉の前で彼は外に誰かがいるのに気づいた。一人の人物を取り囲むように複数の者が集まっている。その人物はただそこに立っているだけだった。
「おい、友よ。通してくれ。内部の状況は既に把握している」と集団の一人が言った。
「それは無理だ。誰も通す許可は得ていない」とユリウスはため息交じりに答えた。
「では、通常の方法で決着をつけよう」ユリウスはそう言うと、布製のマスクを頭にかぶせた。
突然、ユリウスの体が泥のように溶け始め、地面へと消えていく。他の者たちは困惑する。
突然、地面から手が出て一人の男を掴み、地中へと引きずり込む。他の者たちは仲間が地面に消え、近くで大きな水たまりが跳ね上がるのを見守る。
泥の噴水が勢いよく噴き上がり、仲間の一人の頭が現れる。別の男が掴まれ地面に沈められ、今度は腕だけが現れ、次々と他の者たちも掴まれ、それぞれの体の断片だけが現れる。
最後の一人だけが残されると、彼は銃を抜いた。自分がどこにいるかわからないため、むやみに銃口を向ける。不安に駆られ、あちこちへ発砲し、ドラケンを間一髪で撃ち損ねた。ドラケンは弾丸をかわした。
「くそ、こいつが俺をバレるところだった」ドラケンは思った。
「そこから出てきて、男らしく戦え、ああっ!」男は叫んだ。足に掴まれ地面へ沈められながら。
突然、地面から男の腕だけが現れ、ユリウスも姿を現した。彼は仮面を脱ぎ、体についた血を拭いながら。
「こいつは泥に変わっているように見えるが、そうじゃない」とドレイケンは思った。
「この男の血は触れたものを全て固体から液体に変える。おそらく彼が被っている仮面のせいだ。血の契約に違いない」とドラケンは彼を見ながら考えた。
ナレーター:「一見そうは見えなくとも、ドラケンの言う通りだ。ユリウスは血の制御における宇宙的血解放の分派に属する。彼の能力は『地下の死者の血』と呼ばれる」とナレーターは語った。
「ユリウスの血に触れたものは全て泥のように固体から液体へと変化する。これにより彼は地下を移動し、あらゆる物体を貫通できる。つまり固体なら何でも通り抜けられるが、この能力には限界がある。固体を液体へ変化させる速度だ」とナレーターは説明を続けた。
「彼が着用している布製マスクは契約だ。布製マスクを身につけている時のみ能力を発動できるが、素材は布でなければならない。布製でないマスクでは能力を起動できない」と語り手は説明を続けた。
「その契約は、ジュリアスが固体を液体に変える能力を5分間持続させるためだった。彼は懸命に訓練したが、それでも能力は3分間しか持続せず、布製マスクの契約を結んだのだ」と語り手は説明を続けた。
「契約により固体を15秒で液体化できるが、15秒を超える対象には弱点がある。能力発動の反応速度差ゆえに処理できないのだ」と語り手は説明を終えた。
「くそ、こいつは危険だ。見つからぬよう隠れていよう」とドラケンはユリウスを観察しながら考えた。
ユリウスは再び扉の警備に戻った。なぜなら彼はイクルンとは違い規則を守るからだ。ドラケンはこっそり彼の脇をすり抜け、外へと向かった。
路地裏を歩き、携帯電話の電波が届くほど離れた地点まで移動すると、ボスに連絡を取り、モギの戦闘傷を治療させるためヒーラーを派遣させた。
一方、病院では女性が診察書類を確認しながら、病床に三人が横たわる部屋に入った。
「お友達は数分で大丈夫ですよ。幸い、特定の部位に深刻な損傷はありませんでした」と看護師が言った。
「友達じゃない。ただ怪我を心配して連れてきただけだ」とアロンは答えた。
「確かに。提出された報告書には、通勤途中にその状態で発見したと書かれていました」と看護師は言った。
「まさにその通りです」とアロンは答えた。
「でも、あなたも負傷しているのに、彼らがその状態で現れたのは不自然です」と看護師は指摘した。
「チンピラが彼らを襲おうとしたんだ。俺たちは身を守ろうとした。それで俺もひどい怪我を負った」とアロンは説明した。
「なるほど、納得した。もしよければ、回復するまでここで待っていてもいいよ。待合室へ案内しようか?」と看護師が提案した。
「いや、結構だ。ただ彼らを連れてきただけだ。もう行く。遅くなる前に、ある場所でやらなきゃいけないことがあるんだ」とアロンは椅子から立ち上がった。
「ちょっと待って! 彼らがどうなったか、後で確認したくないの?」と看護師はアロンが去っていくのを見ながら叫んだ。
「ちっ、もう行ってしまった。でも、確かに彼はすごく魅力的だったわ」と看護師は顔を赤らめながら言った。
アロンは病院を出て路地裏を駆け抜け、近道で目的地へ急いだ。あの男と対峙せねばならないが、自分にはその力がないと自覚していた。
「彼を倒す力はなくても、あの帝国の遺物さえ手に入れれば勝てる。必ず倒して、あのコウキを我が物にする」とアロンは考えた。
一方、数ブロック離れた車内では、女性が車から降り、目的地へ向かって歩き続けた。
「あの野郎どもが重傷じゃなければいいけど。そうでなければ、俺が直接二人とも殺してやる」と女性は思った。
「休みの日に邪魔されたんだ。電話が来るまでは気分が良かったのに。あのろくでなしどもが重傷を負ったからって、この仕打ちは許さない」と怒りに震える女性は考えた。




