連射のスナイパー：血の力の世界

第八と第九の傭兵

棘が人々を貫き、それを生み出した男は静かに歩む。周囲を見渡すと、残っているのは三人だけだと気づく。彼は言う、そのうち一人だけ数秒間逃がしてやるが、残りは残ると。

「お前たちの中で生きるのは一人だけだ。残りは害虫のように死ぬ。誰を選ぶ？」彼は真剣な口調で言った。

他の者たちが誰かを選ぶ前に、もう一人は既に逃げ出していた。二人は振り返り事態を悟り、涙を浮かべてなぜなのかと問う。背後からスパイクが形成され、彼らを貫く。

「さて、お前たちは一人を選んだようだ。さあ、狩りの時間だ」と彼は言い、逃げた者を追いかける。

男は命の危険を感じながら廊下を駆け抜ける。死にたくない、ただ運命から逃れようとしているだけだ。

「いや、まだ死にたくない。やりたいことが山ほどある。去るなんて考えたくもない」と男は叫び、さらに速く走る。

目の前に扉があり、助かったと思った。立ち止まり、取っ手を回して開ける。しかし扉の向こうには血がこぼれ、気づくより早く、その血が棘となって彼を貫き、即死させた。

「俺から逃げるのがそんなに簡単だと思ったか？血融合の能力だ。血を流れとして利用し、標的を殺す棘へと変える」と彼は呟き、安堵のため息をついた。

突然、自身の体に異変を感じた。血が爆発しそうになる感覚に襲われ、振り返ると一人の少女がただ立っている。じっと見つめている。

男は素早く距離を置き、落ち着くまで歩き去ると、彼女の名前を尋ねた。

「お前は一体誰だ？名前は？」緊張した口調で問いただす。「ああ、本名は教えられないが、皆は俺をエイトと呼んでいる」

「なるほど、お前が八人目の傭兵か。これは興味深い。俺の名前を教えた以上、お前の名前は？」エイトは微笑みながら言った。

「俺の名前はカイン・トロックスだ。だがどうでもいい、お前は長く覚えていられないだろう」そう言うと、彼は攻撃を仕掛けた。「なるほど、お前は尖った能力の持ち主か。これは楽勝だ」

カインは爪で手を引っかき、血を流すと、オチョに向かって血の滴を投げつけた。オチョはそれをかわしたが、その理由がわからなかった。滴は地面に落ちると噴水状の血となり、くちばしの形をとった。オチョはそれをかわした。

「特定のポイントを使って形成する能力だな」オチョは興味深そうに言った。「くそ、避けたのに理由はわからん。あの時、気分が悪くなったんだ。ああ、わかった。他人の血を操る類の技に違いない」とカインは言った。

エイトが接近して攻撃するが、カインは距離を置いて回避する。「違うなら、そういう技は数メートルの範囲に限定されるはずだ。強い技には相応の代償か弱点がつきものだからな。強さには必ず裏がある。ここから一定の範囲内しか効かないんだろうが、その範囲が何メートルかはわからない」とカインは苛立ちながら言った。

突然、足音が聞こえる。エイトは建物の全員を殺したと思っていたので混乱するが、カインは実際には上階には数人しかおらず、こちらの下には大勢いると明かす。大勢の人間が現れてエイトを取り囲むが、彼女は能力を使い、周囲の数人を殺す。

カインは数メートル圏内の半分だけを殺し、死体を囲みながら、その後ろにいる他の者たちがまだ生きていることに気づき、警戒していたと言う。

「つまり、周囲の死体から範囲を推測すると、彼の能力は40メートル圏内で発動する。距離を保ちつつ隙を見て接近するだけだ」とカインは状況を分析した。

すると突然、歩いていた男たちが現れ、10人が灰色の肌で息絶えた。心臓が止まったかのように。そして誰かが現れた。

「おっと、俺だけかと思ったぜ。ナインがここにいるとはな」エイトは驚きの表情で彼を見つめた。

「お前が相手を信用するって知ってたから俺を送り込んだんだ。お前は一生、本気で戦ったことないからな」ナインはため息交じりに言った。

カインは、今や別のトップ傭兵に深刻な危機に陥っていることに気づく。しかし他の者とは異なり、ナインは血液融合能力で知られていた。この能力により彼の血液は沸騰し、他人の血液で人の心臓をも沸騰させることができた。

「くそっ、血液融合の連中は能力のせいで理解しがたいんだ」カインは怒りを込めて言った。

ナレーター：この血融合の概念を理解するには、少し遡る必要がある。ご存知の通り、戦争で使用された兵器や爆弾が原因で、ヴェントXと呼ばれるウイルスが蔓延した。治療法は存在したが、効果を遅らせるだけだった。しかし新たな治療法が発見され、効果をさらに遅延させたが、その代償として血液中において治療薬とウイルスが融合する現象が生じたと、ナレーターは説明する。

ナレーターは続ける。「これら全てが『血液融合』と呼ばれる所以だが、付与される能力は血液と結びつき、様々な要因によって変化する。例えば、外傷・便宜・抑うつ・促進・支援・憎悪・勇気・経験、そして最終的には嗜好——これら全てが人間の感情と関連している。結果として現れるのは、そのうちのたった一つだけだ。能力はその人物の中で最も強い感情に大きく依存し、最終的に血の能力として顕現するのだと、語り手は述べた。

語り手は説明を続ける：「例えば、こうした事例の多くには特定の人物が存在する。例えば：カインの能力は『罪の峰』と呼ばれる。彼は自らの血を尖塔に変え、血が存在する特定の場所に生成する。集結した血滴が尖塔を形成し、犠牲者を殺害する。これは血の位置と、制御可能な範囲内にあるか否かに依存する。この能力の起源は、彼が常に隠された罠を有用と感じていた事実にあり、最も多用したのが尖った罠だった。その容易さに基づき、彼は能力を発達させたのだ。

—その他の能力は八番と九番である。まず八番、異血操作と呼ばれる能力は他者の血液と相互作用し、体内での蓄積・爆発を引き起こすか、臓器に影響を与える。次に九番、生命の釜と呼ばれる能力は自身の血液を沸騰させ、接触者や血液が付着した者に損傷を与える。

—しかし、言及されていなくても血の契約は存在する。これは人体が4～6リットルしか血液を持たないため必要となる。能力で過剰な血液を使用すると極度の疲労、急性貧血、失神、内出血を引き起こす。そのため上級者は循環再利用、微量抽出、再生血清といった技術を開発する。血液で生み出せる技術や能力には限界があるのだ。

だからこそ血の契約が存在する。強力な技能は消費面で不利を伴うが、血の契約は異なる。ここでは身体に条件を課せるが、その条件自体にも欠点が必要だ。万物は均衡を保たねばならないからだ。さもなければ、人間の身体の限界を見誤った瞬間に即死する。

—実は、誰にも言わないでほしいんだが、ナインが他人の心臓を煮沸できるのも血の契約のせいだ。彼が設定した条件は、心臓の鼓動と同じリズムでなければその技、つまり能力を使えないというものだ。そのため、彼は鼓動を聞き取らねばならないが、複数いる場合は困難だ。数人に集中することはできるが、複数を排除する場合、全員に同時に技を使うには集中力を極限まで高めねばならない。発動には相手に触れるだけで十分だ。

「詳細の説明は以上だ。八と九がどうやってその能力を得たかは定かではない。彼らの過去についてはほとんど知られていないが、近いうちに明らかになるかもしれない」と語り手は説明を終えた。

カインは攻撃を決意し、親指で両腕を突き刺すと傷口を引き裂き、血を噴出させて部屋中に広げた。血は棘の形状となり襲いかかるが、八と九はそれをかわす。

さらに増援が到着し攻撃を開始する。「おい、他の奴らを殺すのはやめろ」とエイトがナインに言う。「心臓の鼓動を同時に数えるわけじゃない。時間が必要だ、普通に戦え」とナインは言いながらポケットからナイフを取り出す。

ナインは他の者たちの急所を切り裂き数名を殺害し、エイトが残りを始末する。こうして残ったのはカインのみとなり、彼は二人と対峙する。

カインの技量ゆえに戦いは長く複雑化し、彼はさらに血を消費する。しかし戦闘中のある瞬間、エイトが至近距離まで接近し、カインの腕が変形し爆発して自身の身体に到達しようとしている様子が映し出される。

しかし彼は自らの腕を切り落とす。その能力が特定の部位で発動し、その後身体の別の部位へ移動することを発見したためだ。切断された腕から噴き出す血を利用し、彼女を殺すための何かを作り出す。

エイトがそれを防ぐが、左手の掌を貫かれる。勝利を確信したカインは笑みを浮かべるが、それは罠だった。隙を突いてエイトが接近、カインの手を飛び越えるが、間近で能力を発動され、カインの顔の半分と他の部位が爆発する。

「これで十分だ、勝った」とエイトは言った。

しかしカインはまだ生きていた。死を拒む彼は自身の内部で能力を発動し、複数の棘を引き出して攻撃する。エイトとナインは間一髪で回避するが、振り返るとカインが自らの血で外部に能力を発動する代わりに、内部で能力を使ったことで自ら命を絶っていたことに気づく。

結局、二人は金庫を開けてその物体を取り出す。それは数世紀前のアヌビスのミニチュア像だった。

「オークションで高値がつくかもな。一流エージェントを雇った理由がわかったよ」とエイトは品物を眺めながら言った。「重要な品物だからこそ、互いを信用し合えないんだろう」とナインが続けた。

こうして彼らは基地に戻り、品物を引き渡すと買い手は3000万とセヴを振り込んだ。するとエイトは他のメンバーの行方を気にかけた。

受付係に尋ねた。「おい、ファイブとテンはどこだ？」とエイトが言った。「ええ、ファイブは情報収集の任務中です。ご存知でしょう、彼は相手が話すまで誰であれ拷問するんですから。テンはシックスと共にパーティーへの潜入任務中です。血液効率を高める薬を開発した生物学教授を暗殺しなければなりません。ただし、その薬には副作用や問題点もあるんです」 誰もやりたがらなかったから、あの任務に雇われたのよ」と彼女は答えた。

「まあ、仕方ないか。ファイブの能力を知りながら任務に就かせたわけじゃないといいけどな。あの能力を使えば新兵を何人も殺すかもしれない」とエイトは考え込んだ。「とにかく待つしかないわね。誰かが私たちを雇ってくれることを祈るだけよ」とナインは言いながらソファに座り込んだ。

別の場所では、ロープで縛られ天井から吊るされた男が命乞いをしている。フードで口を覆い、顔の半分だけを見せた若い男がロープを握っている。そのマスクには髑髏の模様が刻まれている。足元には酸で満たされたプールが広がっている。

「どうか命だけは助けてくれ」と男が言う。「なら、あるヴィオネルクス計画の情報を教えろ」と少年が言う。

「いや、無理だ。お前には絶対に言えない。脅されても絶対に言わない」と男が言う。「ああ、わかった。他の人を探せ」と少年はロープを放した。

男は酸の池に落下し、苦しみながら息絶える。少年が去ろうとした時、誰かが彼を呼ぶ。

組織の新人隊員が報告する。「五番が情報抽出を終えました」

「結局何も話さなかった。他の連中を探し出し、捕らえてここに連れて来い」と九番が命じる。

全員が捜索に向かう。ファイブはこれが長引くと思った。

別の場所、パーティーに潜入した男女がいた。

「さて、シックス、捜索を始めよう」と男が言った。「方法を知っているわ。ミッション・テン」と女が答えた。

そして二人は男を探すため散開した。