武器対重力
一方、ファイブがモギとの戦いに勝利した頃、不審な男を追っていたイキュレンは、その男と対峙していた。
男は体内の重力を増大させる能力により地面に伏せていた。この能力は血液の重力を増大させる。
これにより血液の重量が大幅に増加し、その血液が付着した者の身体もまた重くなる。
先に彼を撃ち、血が飛沫となって自身の能力を発動させてしまったイクレンにも、この現象が起きている。
重みで地面に倒れ込んだイクレンは、周囲を観察しながら男をしばらく見つめた。
「上手くやれば彼の能力を無効化できる。だが何を使えば?」何かを見つめながらイクレンは考えた。
彼は気づいた。この男は、血液の特定部位に重力を集中させる能力を持っているのだと。
ナレーター:「話を進める前に、この点を説明しておこう。ご存知の通り、解放能力を得る方法は複数存在するが、知られていないのは、他の解放能力と同一の能力を持つ別の種類の解放も存在することだ」とナレーターは語った。
「ご存知の通り、この男は隕石解放とみなせるが、違いがある。隕石解放は血の消耗に耐えられなければほぼ制限がないが、この男は血液の重力のみを集中的に増大させる」と語り手が続けた。
「流星解放の者は複数を同時に制御できるため、そんな必要はない。つまりこのタイプは血の制御系統における宇宙解放だ」と語り手は説明を締めくくった。
その差異を観察していたイクレンは、重力増強で残されたわずかな力を振り絞り、銃弾を発射した。男は弾を避けるために集中力を失った。
「まあ、お前らはあまり賢くなかったようだな。だって、そういうことなら、お前らはただの古びたガラクタだ」とイクレンは立ち上がりながら言った。
「生意気な小僧だな」と男は言った。
「おや…怖いね、説教でもしようってのか?」とイクレンは笑いながら言った。
「ちくしょう、この小僧! 俺を侮るな、俺がどれほど危険か思い知らせてやる」と男は怒りで頭の血管を脈打たせながら言った。
「よし、なら勝負で決着をつけよう。先に死んだ方が、生き残った方の欲しいものを何でも買ってやる」とイクレンは言った。
「何てこった」と男はイクレンの言葉に思った。
「ああ、そうだ。死んだ人間が生きてる人間に何か買えるわけないか? じゃあ、お前の銀行口座を没収するだけだ」とイクレンは笑いながら言った。
突然、イクレンは手を口元に近づけ、親指を立て、口を開けて指を噛み、小さな皮膚の欠片を引き裂いて血を流した。
「超新星血放」とイクレンが言うと、親指から血が噴き出した。
血はイクレンの腕を伝い、武器へと変化した。腕に装着されたサブマシンガンが、発射の準備を整えた。
「鉛の匂いが好きだと良いんだがな」とイクレンは嘲るように言った。
ナレーター:「イクレンの能力は『弾丸死』と呼ばれる。彼の血は、ピストル、ライフル、ショットガン、リボルバーなど、想像を大きく超える様々な火器を生み出す」とナレーターは説明した。
「ただし両腕にそれぞれ二丁までしか装備できず、それ以上は不可能だ。身体から離れた武器も生成できるが、多数作成するには集中力を要するため、大量の血液を消費する」とナレーターは続けた。
「この能力の問題点は、武器の弾丸が自身の血液であることだ。弾丸の威力が高ければ大量の血を消費し、逆に小規模な攻撃でも、弾丸そのものが血液であるため武器では到底及ばぬ威力を持つ。強大な能力だが欠点も併せ持つ」と語り手は締めくくった。
少量の血で発砲するイクルンに戻る。男はかわすが、その一撃が壁を完全に破壊するのを目撃し、深く考え込む。
イクルンは考える暇を与えず再び撃つが、男はかわし、構えを取り武器を掴むと走り回りながら地面に血を撒き散らす。
「一体何をしているんだ?」状況を見守るイクルンは思う。
「バカだな、お前の危険性を俺が知らないとでも?それに、俺の能力で他に何ができるか、お前は知らないだろう」と男は言った。
突然、地面が揺れ始め、イクレンの体も震えた。男が地面にこぼした血で重力ゾーンを作り出したのだ。その量は膨大で、脱出は不可能に思えた。
「くそ、技の能力か。つまり今…」男を見つめながらイクレンは考えた。
「さて、どう脱出するつもりだ、小僧?」男は言った。
さらに自らの血を掴み、重力で球状に成形すると、それをイクレンに向けようとした。
「気になるだろうが、これも俺の技だ。お前の骨を粉々に砕く。耐えられるものか」男は言った。
「本気でそう思ってるのか?よく考えろ、バカ。俺は死ぬつもりはない。ファイナルファンタジーXVをクリアして全部集めるまではな」とイキュレンは言った。
彼は構えを固め、強力な一撃を放って球体を破壊すると、続けて男めがけてもう一発撃ち込んだ。腹部に直撃し、男は大量に出血した。
「死ぬ前に、どこから来たのか、誰に仕えているのか、ああ、それと銀行口座のパスワードも教えてくれ」とイクレンは銃口を男の頭に突きつけながら言った。
「誰に仕えているとか、そんな話は知らない。俺はただのチンピラだ。今日だけ雇われたんだ。ここでの他の事情は知らない。あちこちで騒ぎになってたんだ。誰かが騒いでたんだよ。本当だよ、それ以外のことは何も知らない」と男は必死に訴えた。
「銀行口座のパスワードも忘れるな」とイクレンは言った。
「ああ、そうだ。口座名はエドゥアルド・パブリッシュで、パスワードは17875643だ。それだけだ」と怯えた男は答えた。
「クレジットカードもな」とイクレンが言った。
「え?クレジットカード?」と男が尋ねた。
「ああ、お前のクソみたいなクレジットカードだ!どうせ死ぬんだから、もう使うことなんてないだろうが!」とイクレンは怒鳴った。
「右のポケットに入ってる」男は恐る恐る答えた。
「ありがとう、これで全部書き留めた」イキュレンはカードを受け取ると言った。
「おい、お前の後ろに立ってるのは何だ?」男は最期の瞬間に何かを見て、ゆっくりと息を引き取りながら言った。
「何だって? 俺の背後に誰かが立ってる? 誰だ?」イキュレンは振り返って後ろを見た。
背後からシルエットが近づき、目の前に立つ。遠くの部屋から聞こえる物音が廊下に響き渡る。
一方、別の場所では、スリーが競売場の廊下を歩いていた。階下にいるため物音を聞き逃し、事態に気づいていない。
「ちくしょう、携帯が繋がらない。ここは電波が最悪だ。こうすれば少しは電波が拾えるかも、仲間と連絡が取れるように」スリーはそう言いながら携帯を振り回した。
突然、足音が聞こえ、スリーが振り返った瞬間、頭部を撃たれて地面に倒れた。彼は倒れたまま、やがて起き上がり、銃創は再生していた。
「おい、何だお前、俺を撃つなんて?頭おかしいのか、シックス?」スリーは怒鳴った。
「すまない、敵かと思った。でもここでの状況を把握してないのか?」シックスが言った。
「いや、何が起きてるんだ?」スリーが問う。
「そうだな、俺が上から監視していた間に起きたことはこうだ」シックスが説明を始めた。
数分が過ぎ、スリーはシックスの説明を全て理解した。彼は上階へ向かうためエレベーターへ向かった。
ボタンを押して長い間待った。エレベーターのドアが開いたが、中にいた誰かがスリーの首を切り落とし、胴体から分離させた。




