表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨の後の虹  作者: マロ
1/2

一節目

龍と竜には違いがある。

龍は中国発祥の架空の生き物。そして、竜は日本の架空の生き物。中国の龍を模した物または西洋のドラゴンなどを含むものである。

虹。それは龍のこと。

正確に言うと大蛇が龍に成る際に雨空を突きぬけ、空を晴らす。その軌跡が虹なのだと。

それはそれはとても美しく、その美しさから中国では彩虹(さいこう)と呼ぶそう。

ここでは龍となるべく切磋琢磨する2匹の蛇の話。


「なぁ(りん)。あの変な色したものってどこから来たのかな?」

「…分かんない。でも母上だったら知ってるかもね。聞いてみよう。」

この2匹の蛇は凛と(くう)。対極的な2人だったが、2人は仲が良かった。

常に落ち着いて行動し、かつそこには力強さもある凛。

(そら)のように全てを包括するがごとくの優しさと大胆さを持つ(くう)。2人はいつも、一緒だった。

「あれは虹というのです。虹は龍が作るもので、雨の後は必ずあるのですよ。」

毎日不思議をみつけ、物知りの母は優しく答えてくれる。

そんな日々だった。


ある日、森に矢の雨が降った。

異変に気づいた(くう)が言う。「母上!!これは一体!?」「これは矢。人間が使うもので、私達を狙って来たのでしょう。2人とも逃げなさい!!」初めて見るような母の剣幕に気圧されつつも2匹は逃げた。母を先頭に2匹は雨を避けつつ、ついて行く。

突然、矢が母の目を穿った。

「「母上!!」」突然の事だった。逃げるので必死だった2人は突然のことに驚いた。

ふたりは立ち止まって母を見た。母が言う。

(りん)(くう)、お逃げなさい!!あなた達だけでも生き残るのです!!!」

空が言う「母上。私は母上を置いて逃げることなどできません。」「私もです。母上を置いて逃げる位なら私は母上と共に居たいです。」

母に一縷(いちる)の涙が線を作ったが、すぐに失せ、母は言う。

「バカを言うんじゃありません!!母の言うことを聞きなさい。私はもう動くこともできません。おまけに片目はこの状態です。人がそこまで来ています。こうなってしまえば私はもう生きれないでしょう。お願いだから貴方達は生きてください。…母は2人を愛してますよ。」

空が言う。「母上!!母上!!私は嫌です!!」駄々をこねる空とは打って変わり、凛は落ち着いて「分かりました。空。泣いているところ悪いけど、母の言う通りだ。悔しいけど、従うしかない。」

「私は!!まだ母上と一緒に…ッ!!」

2本目の矢が母の喉に刺さる。

母は段々と地面に伏せ、血溜まりを作り、ついには動かなくなってしまった。

空は泣いていた。無力な自分と母を殺した者を忘れない為に泣いていた。

凛は(そら)を見上げ、かと思えば(くう)を連れ逃げた。

凛は泣かなかった。自分の分は(くう)が泣いてくれるからと。


この2匹にとってこの出来事は強いなにかになるだろう。

それに化ける日がいつかくる。それはまた次のお話。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ