プロローグ──忘れられた神々の言葉──
かつてこの星には、夜にさえ太陽が輝いていた。
空を裂き、海を照らし、大地を満たしたその輝きは、力であり、知であり、命であった。
人々はそれを「神代文字」と呼び、
それを刻む者たちを「ネア人」と呼んだ。
ネア人たちは、この星に文明を築いた。
4つの人工山を建て、大気を操り、風と雷を支配した。
だが、栄光の終焉はあまりにも突然だった。
7匹の神獣が天より降り立ち、星を燃やし尽くそうとした。
それは天の裁きか、はたまた創造主の気まぐれか。
ネア人たちは抗い、星を守った。
神獣は封印され、文明は海と砂に沈んだ。
そして歴史は、塗り替えられた。
英雄ゲルリオンの名のもとに。
神獣は「災厄」となり、ネア人は「神の血」として奉られた。
だが真実は、石棺の中で静かに眠っている。
砂の底、忘れられた人工山にて。
彼らが本当に守りたかったものと共に──。
そして今、神の名を冠する少年が、
偽りの楽園に生まれ落ちた。
名を、ウルス・アークト。
これは、
神々が封じたはずの「記憶」が、
ひとりの少年によって呼び覚まされる物語。
これは、
世界が“本当の夜明け”を迎えるための、
最初の一歩。