不思議生物その1
私はただの科学者だ。
今はある土地に住み込んで、研究をしている。
この土地にあるものは本当に不思議だ。
なんとも興味深い。
いつも新しい発見が私を楽しませてくれる。
これほど、科学者にとっての天国があるだろうか…。
おぉ、そんなことをいっているうちにまた不思議な生き物がやってきた。また観察してみようか。
なんとも奇妙な姿をしている。
まるで、小さな子供が描いたキノコのような体だ
キノコのかさのようになっている茶色い頭は、その下に生えている体よりもはるかに大きい。
あれでバランスがとれていることが不思議でしかたない。
胴体は黄色に近い色をしていて縦長な楕円形に近い形だ。腕や尾のようなものはなく、小さな茶色い足がちょこんと生えているだけだ。
顔はとてもいかつい表情をしている。
太いまゆに、つり上がった目。あごはしゃくれていて、口からは小さなきばが二本ほど見えている。
本当にちいさなきばだが、噛まれたりしたらかなりに痛そうだ。
その生き物は草原の辺りでひたすらうろうろしている。まるで何かを待っているようだ。
しかしなぜだろう。
あの生き物を思いっきり踏みつけてやりたい。
別に私は生き物を踏みつけて興奮するような趣味はないが、なぜかあの生き物を見ていると、そんな衝動にかられるのだ。
このままだと、本当にあの生き物を踏みつぶしてしまうかもしれない。今日の観察はこのくらいにしておこう。