俺は皇女を寝盗ってしまった
私はアイアン帝国の第一皇女マリアンナ。
望みもしない婚約の為に隣国アルミ王国の王都へ向かう途中で大勢の盗賊に襲撃されてしまった。
既に護衛の大半が倒されてしまい、もう駄目だと諦めた時。
「お前達、盗賊だな」
若い男性の激昂する声が聞こえた。
「ち、目撃者が現れたか。野郎共、さっさと始末しろ」
【睡眠】
目撃者の俺を殺そうとしたので、盗賊達を魔術で眠らせた。
【治癒】
そして怪我人全員を魔術で治療した。
「もう大丈夫です」
「は、はい、ありがとうございます。申し遅れました。私はアイアン帝国の第一皇女マリアンナと申します」
「皇女様ですか。俺は、いえ僕はネトリと申します」
「無理に敬語を使用しなくても、構いませんよ」
「そうはいきませんよ」
「怪我人を治療してもらい、感謝します。私は護衛隊長のマモルです。ところでネトリ殿は魔術士なのですか」
「違いますよ。多少魔術を習っただけの普通の平民ですよ」
「「「「「絶対に普通の平民じゃない」」」」」
何故か護衛の全員がハモって否定した。
本当に普通の平民なのに。
「隣国での婚約が無事に整い、祖国に戻るまで護衛に加わって欲しい」
マモルさんから祖国に戻るまで護衛に加わって欲しいと懇願された。
「良いですよ」
急ぐ旅でないので、取り敢えず引き受けた。
ネトリ様は同年代とは思えない程に大人の雰囲気を漂わせた男子だった。
しかもスリムなのに凄い筋肉質みたいだ。
正に私の理想の男性だった。
「ネトリ様、望みもしない婚約をさせられる私を慰めて下さい」
「・・・・ま、待って下さい」
マリアンナ皇女に迫られて、俺は困惑してしまった。
「待てません」
「うぐぐ」
そして口付けをされてしまった。
「スルスルスル」
更にドレスや下着を脱ぎ捨てて、全裸で抱き付いてきた。
「私を抱いて下さい」
「・・・・」
俺の理性がぶっ飛んでしまい、マリアンナ皇女を抱いてしまった。
「この夜の事は忘れて下さい」
「・・・・分かりました」
この夜の情事はお互いに忘れる事にした。
「マリアンナ皇女との婚約は解消させて欲しい。私は真実の愛に目覚めたのだ」
隣国の王都に到着した私を婚約解消という理想的な現実が待っていた。
「・・・・分かりました。婚約解消を受け入れます。但し貴国の有責となりますが、本当に良いのですか」
別に貴方を愛していた訳では無いのですから、私は構いませんよ。
でも本当に婚約解消しても良いのですか。
下手したら戦争になりますよ。
「ま、待て」
隣国の国王陛下が必死の表情をして、会見室に駆け込んできた。
「国王陛下、私は婚約解消を告げられましたので、祖国に戻ります。それから宣戦布告と認識します」
「ま、待ってくれ。皇女殿下、愚息は一時的に錯乱しているだけなのだ」
「聞く耳持ちません。サ・ヨ・ウ・ナ・ラ」
国王陛下に別れの挨拶をして、私は即座に帰国した。
「ネトリ様、婚約解消された私を慰めて下さい」
再度マリアンナ皇女に迫られてしまった。
今度も拒否出来ずに抱いてしまった。
その後は大したトラブルも無く帝国に入国したので、マリアンナ達とは別れた。
その後の顛末を噂に聞いた。
戦争は回避されたが、かなりの領地がアルミ王国からアイアン帝国に譲渡されたらしい。