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英雄は空へと駆ける  作者: まるゆ
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少年は正義を貫く7

 朝起きれば、毎度同じような朝だ。


「白夜、支度は終わったのか? 忘れ物は無いだろうな?」


「大丈夫だって。俺は小学生かなにかか!」


「似たようなもんだろ? ちっこいんだし」


「貴様の両脚の骨を1本ずつ取ってやろうか!」


「小指……」


「そこじゃねぇ!」


 朝から賑やかな白夜の部屋には、拓斗と咲姫、そして澪奈がいた。


 徐々に増えていく白夜の朝は、賑やかさに包まれている。


 白夜にとって今の現状は満足ではあるのだが、たまには静かな朝もあっていいと思っている。


「白夜君、ハンカチとシャツとズボンにアイロンかけておいたからね」


「おう、あんがとう!」


「なんかお二人、お父さんとお母さんみたいですね!」


 澪奈にそう言われた拓斗と澪奈は大笑い、しかし一人白夜は「何言ってんのこいつ」っとでも言いたげな表情をしながら眼差しを送る。


「似たようなものよ」


「全然違うから!」


 白夜はツッコミをしながら咲姫から受け取ったシャツに腕を通す。それから、スボンを脱ごうとするが……。


「わわっ! 白夜君のえっち!」


 澪奈は自分の顔を手で覆って、後ろを向く。それに構わず白夜は着替え続ける。朝の忙しい時間、他人に構っては居られないのだ。


 人がいるのとは反対側に向いてはいるが。


「あはは! 澪奈ちゃんピュアー! 私はもう慣れちゃったよ」


「朝は大体ここに集まってるもんな! 毎回見てたらそりゃ飽きるよな」


 白夜は好き勝手言いやがってと思いながら次々と着替えていく。最後に学校指定のブレザーに袖を通す。


 そこで少し疑問に思ったのか、咲姫は頭を傾げる。


「そう言えば、今日学校じゃないのになんで制服なの? 別に私服でいいんじゃない?」


「俺は学生なのぜ。俺の正装ってなもんだ」


「白夜、オシャレ感覚ないもんな」


 白夜は「うっさい!」と言いながら、咲姫が焼いてくれたパンをかじり始める。


「いいなぁ。私も祭り行きたいよぉ!」


「まだ言ってんのか。今日は学校も午前中で終わりますって緊急連絡網回ってきただろ? 13時から行けばいいじゃないか」


「むぅ、それはそうなんだけど……」


 こうなったのは緊急で、白夜も昨夜の23時頃に連絡が入った。学校側も生徒の事を考えてのことらしい。


 祭りに気を取られすぎて抜け出したり、学問が疎かになるのはそれこそ本末転倒。


 ならばいっそ半日にしておいて、学生も参加できるようにとの配慮のようだ。


 ただ、別日に登校日が設けられるらしいが。生徒にとっては歓喜だったに違いない。


「俺はむしろ学校行く方が楽でいいけどな。楽しいかどうかは別として」


「あぁ、白夜は人混みとか苦手だもんな。最初この町に来た時は人混み酔いしてたっけ?」


「5年以上も前の話をするなよ」


「そうか? でもその後、ちゃっかり闘技場で優勝するもんな。もしや演技?」


「ガチだっての」


 口に放り混んだパンを牛乳で流し込み、立ち上がった白夜は台所の机に皿とコップを持っていく。


 その後、玄関まで移動して刀を腰に差して脚に鉄でできた装甲を付ける。


「もう行くの? まだちょっと早いんじゃない?」


「朝は9時にギルドに集合なんだと。ギルマスがなんか話したいことがあるみたいなんだ」


 皆が疑問に思いつつ、いつもの事かと気にする事は無かった。


 澪奈は祭りに行きたくてか、もしくは花音に会いたくてかうずうずしている為白夜の話は気になってはいないようだ。


「それじゃ、最後戸締りよろしく」


「おう! 俺がばっちり閉めとくから安心して行ってこい!」


「それは1番不安だわ! 咲姫、戸締りよろしく」


「うん、行ってらっしゃい!」


「白夜君、行ってらっしゃい!」


「行ってきまーす!」


 白夜は靴を履いて外に出る。ほんの少し冷たい空気が肌に当たり、肌寒く感じる。


 空は雲ひとつない快晴。かと思いきや少し遠くに大きな雲がソフトクリームのようにゆっくりと進んでいた。


 雨の心配は無さそうだ。


 住宅街は既に人通りもあり、祭りの準備をしている人や学校に行く学生、そして騎士なんかもチラホラと見えている。


 いつにも増して人通りは多い気がする。


 それを尻目に白夜は歩いてギルドに向かうと、途中にフードを被った人が今日も清掃活動をしていた。


 その数は3人ほど。


「早朝からお疲れ様です」


 そう白夜が言うと、「ありがとう。行ってらっしゃい」と返してくれた。


 今になっては優しい人達だなと思いつつ、ギルドへと足を早めた。


 ギルドについた白夜は、外に立っている大きな男性に気がつく。ギルドマスターの涼介だ。


 いつになく気合いの入った服装で、背中には白夜と同じ背丈ぐらいの大きな剣を背負っている。


「おはよう白夜君。早速で悪いが、少し話をいいかな?」


「おはよう。別に構わんが、何かあったのか?」


「ここではアレだ。ちょっと中に入ろうか」


 涼介は扉を開けて中に入る。白夜もそれに続いて中へ入り、涼介が無差別に選んだ椅子の反対側へ座る。


「すまないね。昨日、ふと思ったことがあって調べていたんだ。すると、大変な事に気がついた」


「なんだよ、大袈裟な」


「私もそう思う。正直浮かれてしまっていて、その結果にたどり着くまでに時間が経ってしまった」


「やっぱ浮かれてたのかよ!」


 朝なのにどっと疲れの来た白夜は、椅子にぐったりとしてしまう。


 それを見て涼介は笑っていた。


「すまなかったよ。それで、うちのギルドのメンバーの中で暗躍部隊に調査を依頼したところ、いろんなきな臭い噂が立っていてね」


「噂? まぁ確かに俺もちょっと気になることはあるだけど、気のせいだろうと思ってたんだけど」


「うむ。一応こちらの情報も話しておくから、護衛の時は最善の注意を払ってくれ。その場合、その場を離れても構わん。その場合、こちらに一方をくれ」


「分かって。一応こちらの情報も話しておこう」


 それから数分、情報共有を行った。それは白夜にとって、全てが衝撃的な事であった。


「彼らは、過去に魔王へ挑んで亡くなったと呼ばれる元騎士団だよ」

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