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暗殺者の夢
「……これで終わり、か」
血が付着したナイフを捨て、殺した相手を見つめる。
幼い頃から訓練されてきた彼にとって、ばれないように人を殺す事など容易だった。
そんな彼には、夢がある。
『普通に生きてみたい』
周りの人から見れば、何を言っているのか、と言われるかもしれない。
しかし、彼は普通の生活をした事がなかった。
部屋に閉じめられ、依頼が来たら人を殺す。
そんな毎日を過ごしていた。
ふと、ある日、アイスクリームを美味しそうに食べている子供を見つけた。
——ああいう風に、自由に伸び伸びと生きれたら、どんなに幸せなんだろう
それから、普通の生活と言うものに憧れるようになっていった。
普通の生活をしている自分を想像しては、心を躍らせる。
人を殺さず、あの子供みたいに自由に生きたい。
それが彼の小さな夢だった。