扉あけて
街にひとりで来た。
少しだけ不気味だ。
案の定、変な人に絡まれた。
目は絶対に合わせてはならない。
ここから今すぐ逃げ出したい。
想像を膨らませ、スッとドアを開く仕草をした。
すると、あっという間に何もない異空間に飛んでいった。
ここは、本当にただ白いだけの場所。
誰もいない、何もない、ひとりだけがいる場所。
ここでは特に何の制限はない。
ストレスを発散したり、見られたくない行動もすることが出来る。
行動も声の響きも、特に現実と変わることはない。
悪口だって何も気にせずに、気が済むまで言える。
心配されるほど落ち込んでいても、心配されることはない。
この場でジタバタジタバタしても、白い空間に、下の住人はいない。
もう終わった頃かと、現実に恐る恐る戻ってみた。
すると、変な人たちと僕は、仲良くなっていた。
白い空間に来ても現実には、何となく自分が残る。
その曖昧な自分と、その変な人たちは、かなり馬が合ったらしい。