01 What do I ?
「……カイウス・フルハート?カイウスなら今さっき、教室を出ていったわよ。そうね……ここを直進した演習場にでもいるんじゃない?」
気怠そうに魔導書を読み耽っていた一つ上の女生徒は、ぶっきらぼうにそう答えた。
「……はぁ、でも、あんな痛い男を探しているなんて変わってるわね。──ああ、そうだ。思い出した、あんたも魔導科で相当変わり者で有名だったっけ。ま、いいわ。精々、抱いてる彼と現実の彼の格差で落胆しないようにね。」
私は、女生徒にありがとうと礼を言って、その場を後にした。
女生徒は小さく手をひらしらと振って見送ってくれたけれど、その表情は、苦虫を潰したかのような顰めっ面だったのを私は見逃さなかった。その目に浮かんでいたのはは憐憫、或いは侮蔑の情。それは、カイウス・フルハートに本当に会うつもりか、止めておけと言外に伝えるようだった。
──でも、それがどうした。
私にはカイウス君に会って、確かめなければならないことがあるのだ。だから、この足を止める訳にはいかない。
そう──私の知識を持ってしても理解し得ない、あの日から、忘れることができない私の『奇妙な異常』を確かめるまでは──