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バス運転手の仕事in異世界  作者: こうのめぐみ
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02

赴任する朝。一か月の基礎研修を終えた俺。いよいよ異世界へと出発だ。指定された時間に事務所に来ると初日からずっと指導してくれている西村さんが待っていた。


「おはよう。もう出発できるからね。」


西村さんが笑顔でそういうが・・・・現実味がない。本当に俺はなんかからかわれているんじゃないかと思っている。この手の業種だ。体育会系でなんか新参者にそういう歓迎なんじゃないか。そう思っている。

荷物と俺を乗せたバスは西村さんの運転で異世界と繋がる場所へ向かった。

が5分くらいでその場所は着いた。陸上自衛隊練馬駐屯地だ。

基地のゲートを通ってしばらくすると、大きな西洋風な門が現れた。

西村さんが自衛隊員に何か書類を渡したらすぐ開けてくれた。長いトンネルが続いているようだ。


トンネルを抜けるとそこは異世界だった。


なんか川端康成みたいな表現をしてしまったが、ほんとに異世界という感じだったのだ。

なぜなら、トンネルを抜けると草原が広がっていて空にはドラゴンが飛んでいたのだ。


「おお・・・・すげえ・・・」

俺は思わず感動そう口に出してしまった。


「はは。すごいでしょ。ほんとここは地球じゃなく日本でもない異世界なんですよ。町についたらもっと異世界って感じを味わえますよ。」


西村さんはそう笑顔で言った。


30分後。大きな門をくぐるとヨーロッパな街並みが広がっていた。

「はい到着。ここがあなたの所属するアンダレシア営業所。早速所長にあいさつにいきましょう。」

それから俺は西村さんにいろんなところへ連れまわされた。ギルド会館という冒険者へ仕事をあっせんしている所、街の中心にあるお城、そして在アンダレシア日本大使館だ。


「ここへは在留届を出しておかないとね。それから職員さんにもあいさつしないとね。」


大使館はまるで宮殿という感じであった。中の様子は機密事項らしくあんまり言えないが、とりあえず応接室に通された。

「こんにちは。木村さんですね。私は大沢。ここで一等書記官でをしております。」

爽やかなスーツ姿のイケメンが入ってきた。西村さんがそっと「ここで3番目くらいに偉い外交官ですよ。」と教えてくれた。

「どうも。初めまして。木村と申します。」

あれ?おれ在留届を出すだけなのになんで書記官の人、外交官と話しするんだ?書類書いておしまいじゃないのか?

「さて、書類を出すだけなのになんで外交官とお話をしなければならないのか疑問に思っておられるでしょ。それはあることを日本政府はあなたにお伝えする義務があるからですよ。」


義務?一体なんだ?


「この国は今情勢が不安定なんです。反王政のデモ隊が抗議活動をたまにやっているんです。そしてこの国ではスマホは使えません。電波があるのは大使館と一部日本企業が出している店くらいです。万が一の時にすぐにメールなどでお知らせが出来ないのです。」

とどこか残念そうに言う大沢さん。

「wifiがあるのはあとウチの事務所と寮だけだよ。」

とボソッという西村さん。いや結構大事なこと・・・あもしかして先日くれた広辞苑ばりのあの文書に書いてあったのか?

「あの・・・ところで万が一というのは・・・」

そういえば今気になることをいったな。万が一の時がどうたらこうたらって。


「外務省は海外にいる邦人に対していくつか注意情報や勧告をだすことができます。木村さんは外務省の海外安全ホームページをみたことはありますか。あれにも書いてあるんですが、注意情報を発信したりします。そして勧告というのが、渡航中止勧告、退避勧告です。万が一というのは退避勧告を発令せざるを得ない時です。わかりやすく言えばこの国に滞在すると命の危険があるのですぐに帰国か安全な別の国へ避難してくださいということです。因みにこの勧告が出たとき我々大使館の人間はすぐに民間人の皆さんが帰国できるよう手配し、全員帰国したと確認したら我々も帰国します。」


なんだそれ。思った以上に危ない話じゃないか。

「まあ、本音を言えば今日明日すぐにでも避難しなければならないほど情勢が不安なわけではありません。一応、建前としてお伝えしなければならないので。」


色々政府にも都合というのがあるだろうが・・・・大丈夫なのだろうか・・・不安だ・・・・

他にもいろいろ説明を受けて書類をだして大使館を後にした。

その後、営業所で営業所所属の運転士や整備さんたちによる歓迎会を開いてくれた。正直疲れて寮の自室に入ってベッドですぐ寝てしまった。


こうして俺の異世界初日は終わった。


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