37 ジャイアントボディ
「真奈美さん大丈夫?」
声をかける。
「ああ、大丈夫だよ。
だけど、激気分悪いから、秒殺すんよ」
力なく笑って、前に歩き出す。
金棒を振り下ろす赤鬼。
でも、よける気配も無い。
真奈美さんは透ける体だから、よける必要はないんだけど、
やっぱ横で見ててヒヤヒヤする。
真奈美さんも私と同じで、
巨大な魔獣に対する技を持たない。
真奈美さんの使う暗器は、
魔獣のコアに届くには、あまりにも貧弱な武器だ。
「じゃあ、いくよっ。
わたしの技はミスティボディだけじゃないよ。
身体の密度を変えられる…
それが、わたしの力」
そう言うと…・
前に進みながら…
だんだん真奈美さんが大きくなっていくように見える。
ううん…・
見えるだけじゃなくて、
本当に大きくなっていってる。
熊くらいの大きさになって…
象くらいの大きさになって…
キリンくらいの高さになって…
赤鬼と同じくらいの大きさになる…
襲いかかる赤鬼…
その背後に回りこむ…
首に腕を巻きつけて…
背後から心臓のあたりに手刀を突き刺す…
鮮やかな手並みだ。
時々、わたしたちに体術のレクチャーをしてくれるときあるけど、
目つぶしとか急所を一撃的な技ばかり…
さすが、WITCHESの暗殺者と言われるだけある。
赤鬼は一瞬でコアを潰され消滅する。
真奈美さんは、まただんだん元の大きさに戻っていく。
わたしの方を
後はたのんだよっていうように振り返って、
その場に座り込んだ。