32 雪vs氷
「凍え死んでしまうといいわ!」
雪女の出す吹雪はより強くなる。
優菜は盾で守りながら進む。
でも・・・
もう腰まで雪に沈んでいる。
少しづつしか進めない。
これじゃあ
絶対零度とかも使えないし、
フローズンワールドさえも使えない。
そもそも凍らすって技が雪女に効くとは思えない。
「しぶといわねっ。
じゃあ雪崩っ」
雪女がそう叫ぶと上から雪崩のように雪が落ちる。
優菜は、それに飲み込まれてしまう。
優菜のいたところに雪の山ができる。
「いっちょうあがり!
もう、出て来れないよ。
雪って案外重いんだからねっ。
それに体温が奪われるから、
ジ・エンドって感じっ!」
雪女は高らかに笑う。
あの同期で最強の優菜が・・・・
はやく助けないと・・・・
美那子さんが近寄ろうとする・・・
そのとたん・・・・
雪山がはじける・・・・
あたりが雪煙に包まれる・・・
何が起こったの???
雪煙の中に黒い人影・・・
優菜の形のシルエット・・・・
「ふうん、やるじゃない。
でも、氷の敵じゃないよ」
「どうして?
埋もれたはずじゃあ」
「埋もれる前にバリアをつくったの」
「でも、寒さで・・・」
優菜は首を振る。
「雪の中って案外あったかいんだよ。
知らなかった。
かまくらとか・・・」
雪女は再び吹雪を浴びせる姿勢をとろうとする。
でも、一瞬の隙を優菜は見逃さない。
「じゃあ、今度はこっちの番」
優菜は雪女に向かって走る。
左右に飛んで吹雪を避ける。
走っている優菜の手に氷の剣が・・・
だんだん刃が長くなっていく。
空気中の水分を集めてるんだ。
そして、雪女の前で大きく飛び上がって・・・
斬りつける。
愕然とした雪女の顔・・・・
そして・・・・
コアを捕らえられた雪女は雪のように舞い上がり散る。
「おぼえておいて・・・
雪と違って氷は刃になるんだよ」
優菜はニコッと笑う。
その優菜に胡桃が駆け寄って、
ハイタッチを決めた。