30 過去より今
「そろそろギブアップですか?」
空知の笑いを含んだ顔。
「まだだよ。
それにしても、そっくりだね。
わたしに…
なにからなにまで…」
少し息のあがった美那子さん。
それにくらべニセモノは平然としている。
「じゃあ、そろそろ行かせてもらうよ」
美那子さんがボールを構える。
そのままスタート…
これまで、全部止められている。
ニセモノの直前で、すこしかわして…
シュートを打つ…
えっ????
今度はニセモノは少しも動けない…
どうして????
そしてリングの中に決まったボールをとってニセモノを蹴って高く舞い上がる。
そのまま両手でゴールを決める。
ボールがデットになってないから、この点数もOK。
ボールはニセモノにわたる。
でも2、3回のドリブルで、美那子さんがボールを奪い取る。
そのまま無人のゴールにダンクを決める。
落ちてきた球を再度拾ってゴール。
一瞬で16-8まで詰め寄る。
「ば、ばかな…」
空知がうめく。
「本当にそっくり…
欠点までね。
わたしが、鏡を見ながらどれだけ練習してるかわかる?
自分の弱点くらいわかってるよ」
美那子さんが親指を立てて腕を伸ばす。
「それにコピーされたのは過去のわたし…
うちらはさぁ。
毎日毎日、進化し続けてるんだよ。
過去のわたしが今の私にかなうわけないじゃん。
たとえ100%増しでもねっ」
美那子さんがまたドリブルのまま突っ込む。
今度は正面から…
吹き飛ばされるニセモノ…
ゴールを決めた後も、ボールを拾って何度もゴールを決める。
でもニセモノは起き上がってこない。
美那子さんは簡単に18点目のゴールを決めた。