25 妖怪 ぬりかべ
胡桃の拳は「ダイヤモンド・ラッシュ」と言われる技を繰り出す。
文字通り地球上で一番固いダイヤモンドも砕くと言われる拳だ。
たぶん、白い土壁なんてひとたまりもなく崩れ去る。
そう、思った瞬間。
胡桃の拳は壁にめり込む。
えっ。
胡桃の驚いた顔…
すぐに拳を引こうとする。
でも抜けない。
足で壁を蹴って…
その足も壁にめり込む…
もがけばもがくほど壁にめり込んでいく胡桃…
「どうです?
妖怪、ぬりかべの力は」
ドクター空知の立体映像が現れる。
同時に壁の上部に現れる巨大な目。
そう、壁全体が妖怪なんだ。
「すぐに固まってしまいますよ」
胡桃の露出している部分は顔だけになる。
もうあきらめたように暴れるのをやめる。
そう、顔まで取り込まれたら窒息してしまう。
「ハハハハ…
素敵なモニュメントの完成です。
完全に固まるまで、少しお待ちください」
空知は上機嫌で笑う。
「この野郎っ。
すぐにそんな壁、砕いてやるぜっ」
愛莉さんが金槌を振り回す。
それを止める美那子さん。
「待って、
胡桃に当たっちゃうよ」
俯いて目を閉じる胡桃。
でも、他のメンバーは何もすることができなかった。