23 剛と柔
後ろに吹っ飛ばされる麻衣さん…
5メートルくらいで
なんとか倒れずにこらえる。
「女の力では俺には勝てない。
太刀筋はいいんだが…
出直して来い!」
くやしそうに武蔵を睨む麻衣さん。
その横から希美が飛び出す…
大剣を振りかぶって…
そう、力なら希美は負けない…
走っていって剣を薙ぐ…
キィィィン…
金属のぶつかる音…
立っているだけの武蔵…
勢いをつけて大剣を放った希美…
でも、弾かれたのは希美の方…
希美は壁まで飛ばされる…
白い壁にぶつかって、倒れる…
でもすぐに立ち上がって剣を構える…
「その程度か!」
キッとにらむ武蔵。
もう一度、切りかかろうとする希美。
でも、麻衣さんが目で制する。
うなづく希美。
麻衣さんが前に出る。
顔の前に刀を構える。
正眼の構え。
「見切ったわ。
あなたの攻撃」
だんだん間合いを詰める。
「見切っても無駄だ。
俺の剣はな」
「どうかしら?」
麻衣さんの剣が青い光を帯び始める。
「きえぇぇぇい!」
武蔵が動く。
すごい気合を発して。
刀を振り下ろす。
麻衣さんは動かない。
斬られちゃうよ。
そう思った瞬間。
麻衣さんがすり抜けたように…
脇差での一撃もそう…
すぐに刀を引いてまた振り下ろされる。
でも当たらない。
刀は前に剣を構えた麻衣さんを紙一重でよけているように見える。
武蔵の顔が笑ったような気がする。
「あなたの剣は剛の剣です。
その直線的な動き…
方向を変えてあげれば、わたしに触れることもできません。
勝負ありですね」
「ああ…
たしかに…
正面から受け止めれば、力で負けることはないんだがな。
横から剣を払われれば弱いとはな…」
そうなんだ。
麻衣さんは横から武蔵の剣を払ってたんだ。
でも、そんなことできるのは麻衣さんだけ…
「しかし、俺の勝負は生きるか死ぬかだ…」
ニヤッと笑う武蔵。
麻衣さんにまた切りかかる。
「仕方ないですね…」
麻衣さんは目を閉じる。
剣の青い光が強くなる。
「夢想乱舞っ!」
今度は麻衣さんから仕掛ける。
振った剣から光の槍が飛ぶ…
そして、武蔵を無数の光が突き刺した。