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LOVE★WITCHES (魔女アイドルグループの物語)  作者: PYON
第3部 暴走魔獣シュミレーター
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21 小太刀の舞

 あぶない!!

 あのスピードで太刀筋がかわるなんて!!


 でも、もう反射神経って言っていいくらいのタイミングで、

 希美はしゃがむ…

 白刃が希美の髪をかすめる…

 でも、遠心力で振り回していた大剣は離さざるおえない…

 態勢が崩れたら大剣に身体ごと持っていかれる…

 それにまたすぐに太刀筋はかわるかもしれない…

 希美の判断は正しい…

 大剣は宙に飛んでいく…

 降参しかないの…

 やっぱ、歴史に残る剣聖の力は次元が違うのかも…


 思ったとおり白刃は方向を変え、

 また希美の首を襲う…

 だめっ!!!

 麻衣さん…

 何とかして…

 見ていることができない…


 キィン…


 何???

 この金属音???


 希美の方を見ると、短い刀を首のあたりに構えているのがわかる…

 

「小太刀でござるか?

 しかし、ふせぐのがやっとでござるな。

 もう降参したほうがいいでござる」

 哀れむような目で希美を見る。


 でも、希美の目は死んじゃいない。


 短い刀を構える。


 ただでさえ小学生な希美…

 リーチも刀の長さもかなわないのに…

 たぶんLOVE☆WITCHESだから???

 でも、麻衣さんは腕を組んだまま…


 希美が切りかかる…

 簡単にはじかれる…

 

「もう、やめさせたほうがいいでござる」

 困ったように言う小次郎。


「いいえ。

 剣術は進化するの。

 希美の剣は戦国の剣じゃないわ。

 大道寺流の極意は小太刀にあるの」

 麻衣さんが笑う。


 小次郎の袖がはらりと解ける…

 そう、いつの間にか斬ってたんだ。

 

「見えた???

 この子の剣。

 さっきのは一撃じゃないよ。

 3撃だよ。

 フフ…

 さっきのあなたと希美と同じ。

 この子の小太刀の前では、あなたの剣は大剣と化すの。

 そして、あの大剣を振り回す力。

 あなたの剣が音速ならこの子は光速。

 勝負にならないわ。

 降参してもいいよ。

 あなたの方がねっ」

 麻衣さんの余裕の表情。


「ハハハハハハ。

 おもしろうござるな。

 拙者の剣も速きを求めた剣。

 いざ、尋常に勝負でござる」

 小次郎が構える。

 

 希美も微笑んで構える。


 じっとにらみ合う。

 2人。


 静寂…


 そして希美が動く。

 前に…


 小次郎が上段から剣を振り下ろす。


 見えたのはそれだけ…


 2人は交差して離れる。


 どっちが勝ったの???


 希美の表情は真剣。


 そして、小次郎の表情に笑みが浮かぶ。


 うそっ…


 でも、その次に小次郎の表情がゆがみ…


 スローモーションでその場に崩れ落ちる。


「完敗でござるな。

 こんなに速き剣があったとは不覚でござる」

 苦悶の表情…

 でも、何か憑き物がおちたようなさわやかな表情だった。


 光となって…

 塵と消える。

 魔獣シミュレーター独特の消え方。

 

 希美は振り返って、礼をする。

 それが好敵手に対する礼儀だった。


 麻衣さんが近寄って…

 よくやったねって言うように希美の肩をポンと叩く。

 そして2人は次の階段へと歩き出した。



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