20 小次郎
7階でエレベーターのドアが開く。
8階にはいけないみたい。
2人はそこでエレベーターを降りる。
その前に近づく男。
ロンゲで長身の男。
色白でかなりのイケメンだ。
背中に長い剣を差している。
「おや、エレベーターでござるか?
これは裏をかかれたでござる…」
確かに普通使わねぇけど…
使えねぇようにしとくだろっ!!
普通っ!!!
「拙者は小次郎でござる。
一度戦いに敗れて死んだ身でござるが、
空知殿のからくりにて再び生をうけたのでござる。
特にご婦人方には恨みはないのでござるが。
空知殿のご恩に報いるため、勝負するでござる」
イケメンなんだけど…
この不自然なござる言葉が×かも…
ござるの後にニンニンとかつけたくなるの私だけかなぁ。
とにかく超イライラするっ。
希美が構える…
麻衣さんが後ろに下がる…
希美が行くことに決まりみたい。
「一人ずつでござるか?
拙者は2人一緒でもいいんでござるが…」
いままでの間の抜けたような目が厳しくなる。
「いいよ。
希美だけで…
わたしたちはLOVE☆WITCHESなんだから、
卑怯なことはできない。
1対1で戦うわ」
希美は大剣を構え前に出る。
小次郎も刀を抜く。
すらりと長い白刃…
かつて物干し竿と言われた刀だ…
希美の剣も負けず劣らずの大剣だ。
しかし、小次郎の刀と違って刃が広い剣…
それと、かなりの重さがある。
騎馬の脚を折るための剣だって聞いたことがある。
「大道寺流でござるか。
しかし、その剣は戦場の剣。
時代遅れでござる。」
いきなり剣を払う希美。
それを軽く飛び上がってかわす。
希美は小次郎を睨みつける。
「剣の極意は速きにあり!」
小次郎が白刃を一閃。
何が起きたのかわかんないくらい速さ。
でも、希美は後ろに下がって避けている。
なんかぎりぎりだったのか。
希美の腕に小さな真新しい傷。
「腕を斬るだけにしようと思ったんでござるが…」
残念そうに言う。
「手加減して勝てる相手じゃないよ。
希美はねっ」
麻衣さんが言う。
だめじゃん。
挑発しちゃ。
また、前にダッシュする希美。
大剣を振り回す。
だめだよ。
頭の上が隙だらけになるから。
独楽を止めるには軸を止めればいい。
空中に飛び上がった小次郎が切りかかる。
今度は希美の頭をめがけて…
殺る気だ…
でも、希美も剣を振り回しながら紙一重で避ける。
「秘剣ツバメ返し」
希美が避けたはずの刃がいきなり方向を変えて、戻ってくる。
そう、普通、剣撃は一度避けたら終り。
でも、小次郎の剣は違う…
一度避けても、方向を変えてすぐに襲ってくる…
それも音速の速さで…
「もらったでござる」
小次郎の剣は希美の首のあたりを横からなぎ払った。