16 3頭の恐竜
次のゲート前…
今度は早くもドクター空知が現れる…
「よくここまでたどり着きましたね。
敬意を表します。」
柔らかく笑う。
「もう、前置きはいいから次にいくよ」
睦美さんが苛立って言う。
「みなさんにめんじて、
今度は楽にクリアーできるようにしてあげましょう。
そうですねぇ。
こちらは3頭の恐竜を出させていただきます。」
「ぜんぜん楽になってねぇじゃん」
睦美さんが睨む。
「話は最後まで聞くものですよ。
あなた方も3人で戦っていただいて構いません。
これでどうです?」
顔を見合わせる沙耶香さんと睦美さん。
「ふぅん。どうせ、なんか考えてるんだろ。
でも、いいよ。
乗ってやるよ」
沙耶香さんがゲートをくぐる。
それから、睦美さんが沙織さんに目で合図をして…
「栞もおいで…
じゃあ、行って来るねっ」
両手を振って、栞といっしょにゲートをくぐる。
そのとたんシャッターが落ちる。
やっぱ、この3人…
沙織さんはヒーリング専門で戦闘要員じゃないし…
「ハハハハハ…」
空知は高笑いをする。
「さっき言いませんでしたっけ?
話は最後まで聞けと…」
「なんだって!」
振り返る沙耶香さん。
「こういうことですよ」
空知は沙織さんの方を指さす。
そこに3頭の恐竜…
大体2メートルくらいの身長…
前に映画で見たことがある。
これくらいの恐竜が一番やばいって…
大きな恐竜は小さなものと戦うようには出来ていない。
でも、これくらいの大きさの肉食恐竜は、違う。
また、ある程度の知能を持っていて狩りまでするらしい。
それが3頭も…
戦闘要員でない沙織さんの前に…
これじゃあ…
惨劇必死って感じだよ…
「戦う人はこちらに残るように言おうとしたんですけどね。
ハハハハハ…
その前に出て行くとはね…
ゲートは恐竜たちを倒すまで開きません。
仕方ないですね…
わたしは3人で戦うように言ったんですがね。
一人で戦っていただかないと…」
おかしくてしかたないって感じの空知。
「きったねえな」
睦美さんがゲートの檻の部分に近づく。
それを沙耶香さんが止める。
「でも、やばいな」
檻の向こうをみながら沙耶香さんがつぶやく。
「うん、そういえばマジやばいって感じ」
睦美さんも沙織さんを見る。
そんなこと見りゃわかるじゃん。
なんとかしないと…
栞だけがオロオロしている感じ…
沙耶香さんと睦美さんを交互にみるだけしかできない。
その3人の目の前で1頭の恐竜が咆哮をあげ、
沙織さんに襲いかかった。