08 太古の動物園(アンシエント・ズー)
彼女たち4人の目の前には、ジャングルが広がっていた。
沙耶香、沙織、睦美、栞。
他のメンバーは見当たらなかった。
熱帯のような巨大な植物群…
このメンバーの前にも現れる立体映像のドクター空知。
それとメインキャラのワンタ。
「ようこそ、アンシエント・ズー、太古の動物園に」
大仰に礼をする空知。
ファンタジーパークの動物園だけに、普通の動物園ではない。
すべて立体映像。
絶滅した動物もいれば、架空の動物さえいる。
特に恐竜のエリアが子供たちに大人気だった。
今や図鑑でしか見られない巨大な生き物。
その世界が、すぐ目の前で再現される。
家族連れでいつも満員になるエリアだ。
でも…
魔獣シュミレーターを手にいれたカオスという組織。
その組織がこの動物園をどのように作り変えているかはわかりきったことだった。
ふつうは決して恐竜たちは人間を襲わない。
もし、やつらが敵意をもって襲ってきたら…
とんでもない危険なエリアとなる。
それに、ただの恐竜ではない…
人間を狩るために作られた恐竜だ。
「4人には太古の旅をご案内します…
せいぜい楽しんでください。
死への旅立になってしまいそうですがね」
「ふうん、ここを出ればいいんだね」
興味なさげに沙耶香さんは腕を組んでいる。
「ある意味、最強メンバーだよ。うちら」
いたずらっぽく微笑む睦美さん。
「仕方ないですよね」
ため息をつく栞。
何も言わずに微笑んでいるだけの沙織さん。
「たのもしいですね。
ここは新しい魔獣の実験室にもなっています。
せいぜい暴れてください。
新しいデータを我々に!」
空知の言葉に。
ワンタの挑戦的なジェスチャー。
「じゃあ、行くよっ」
沙耶香さんの言葉に4人は並んで前にゆっくりと歩き始めた。