07 剣の国(ソードワールド
希美と麻衣の目の前には大きな城門が立ちふさがっていた。
その門を入るとソードワールドとなる。
昔の時代の格好をした門番が槍を構えている。
そう、このアトラクションは剣の世界のアドベンチャー。
昔の武士、または忍者になって城を攻め落とすということになっている。
ビームソードを渡されて、その剣で次から次へと現れるCGを切る。
まさにこの2人のためにあるようなアトラクションだった。
「ようこそ、ソードワールドへ!」
いきなり現れる空知の立体映像。
その後ろにワンタの恋人のワンミー。
愛嬌いっぱいのジェスチャー。
でも、どうみてもワンタにスカートをはかせて、
リボンをつけただけにしか見えない安易なキャラクターだ。
希美が大剣を構える。
今にもそのまま飛び出そうかという姿勢。
身体を低くして、クラウチングスタートみたいな姿勢だ。
でも、その肩を麻衣さんが掴んで止める。
そう、ただの映像に攻撃をしても無駄。
希美は構えを解いて、麻衣さんの横に立つ。
「それで、どうすればいいの?」
麻衣さんは静かにドクター空知に問いかける。
「フフ、物分りのいいお嬢さんだ。
いいでしょう。
我々の狙いを教えましょう。
あなたがたにはこのアトラクションをクリアして欲しいんです。
これは命令だと思ってください。
あなた方を消滅させることなんて簡単です。
それに、人質だっています」
「フフ…わかったわ。
あなたたちの考えはね」
そういう麻衣さんを不思議そうに希美が見上げる。
「魔獣シュミレータの力を試したいということ・・・
それが狙いなんでしょ?」
「ご名答です。」
ドクター空知が白い手袋の手を叩く。
「ゲームのルールは?」
「簡単ですよ。この城の天守閣の最上階にたどりつくだけですよ」
「それをあなたたちが邪魔するというわけね」
「ええ、魔獣をテストすると思ってください。
魔神といったほうがいいですかね。
我々は魔獣だけでなく、
過去の剣豪をCGで合成するプログラムに成功しました。
その剣技のすべてを再現することにね。
その力をあなた方で試そうと思います。
いえ…
ただでなんて言いませんよ。
報酬は中央広場で私との再戦・・・・」
「今度はさっきみたいに行かないわ」
「楽しみにしています。
それでは、また…」
ドクターのホログラムが消える。
「希美、行くよっ」
麻衣さんは希美にそう声をかけると、城の門の方へ駆け出した。