06 スリラーハウス
男が手を翳したとたん。
周りの世界が変わった。
めまいのような感覚。
そして彼女たちの周りは薄暗い町並みに変わっていた。
白壁に取り囲まれたレトロな風景。
でも、風景だけではなかった。
彼女たちは周りを見回す。
そう、人数が足りない。
12人いた仲間たちは、4人になっていた。
胡桃、優菜、愛莉さんそしてリーダーの美那子さん。
他のメンバーの姿は見当たらなかった…
「他のみんなは?」
美那子さんが他の子の心配をする。
そのほかの3人は首を横に振る。
「とりあえず探すしかないね」
愛莉さんが金槌を振りまわす。
その前に立体映像が現れる。
さっきのドクター空知とかいう男だ。
後ろに猿キャラのモンキチロウを連れている。
「みなさん、スリーラーメイズにようこそ」
丁寧にお辞儀する。
となりのモンキロウも。
スリーラーメイズ…
これもファンタジーパークの大人気アトラクションだ。
迷路になった巨大なお化け屋敷って感じで。
「さて、ご存知だとは思いますが、
このアトラクションは巨大な迷路になっています。
その中にS級の魔獣が配置してあります。
それをかいくぐって、出口にたどりついたらあなた方の勝ちです。
中央公園で再度わたしと戦う機会が与えられます」
「気にくわねえなっ!
その余裕」
愛莉さんが空知めがけて金槌を降る。
金槌はむなしく宙を切るだけ…
でも…
いつも元気な美那子さんが妙におとなしい。
「とりあえず、
ここを脱出して、
あいつをぶっ飛ばせばいいんだろ」
愛莉さんが吼える。
それに美那子さんと胡桃が答える。
「じゃあ、いくよっ!」
美那子さんの言葉を合図に、
4人は前に向かって走りだした。