02 緊急会議
「では、緊急会議を始めます」
美那子さんがわたしたち一人一人の顔を見回す。
真剣な顔・・・
「じゃあ、安城さんお願いします」
安城さんが立ち上がる。
LOVE★WITCHESの作戦参謀。わたしたちの教官でもあったひとだ。
「では、わたしから説明します。
あなたたちが対魔獣戦闘の練習に使ってる魔獣シュミレーターなんだけど・・・」
今でも週に一度はトレーニングに使ってる機械。
コンピューターグラフイックで魔獣を作り出す。
どういう仕組みかわかんないけど、なんか素粒子とかくっつけて・・・
単なる立体画像じゃなく、実体を持った魔獣を作り出す・・・・
「その魔獣シュミレーターは○○重工という会社が作ってるんだけど。
その会社から開発中の新型シュミレーターが盗み出されたの」
会議室がシーンってなる。
あんなでっかい機械どうやって盗みだすの。
ステージ用でも一つの部屋くらいあるのに・・・・
それに、シュミレーターは半径1000メートル以内に自由に魔獣を生み出すことができる。
使い方を間違えると、すごく危険な機械だ。
「犯人の目星はついてるんですか?」
美那子さんが尋ねる。
「ええ・・・国際犯罪組織カオスってことはわかってるんだけど」
「カオス?聞かない名前ね」
沙耶香さんが言う。
「ええ、どんな組織かわからないの」
安城さんの困ったような顔。
「敵の力がわからないってことだね」
睦美さんが腕を組んで考える。
「でもさぁ。シュミレーターがどこにあるかはわかってるんでしょ?
あんな大きな機械だからね」
真奈美さんが尋ねる。
やっぱまだわたしたち1年生の出番はない。
「東都の南にある遊園地・・・ファンタジーパークにあるの」
「ふぅん、要するに敵に利用される前にぶっ潰せってことだねっ」
愛莉さんが目を輝かせる。
やっぱこの人は破壊系だ。
「でも、もう利用されてるの…
ファンタジーパークはS級の魔獣で一杯なの」
えっ、S級!!!
トレーニングでもA級までしか使わないのに…
安城さんが続ける。
「むこうにも、天才的なエンジニアがいるらしいの。
だから、どんなプログラムを組んでるかわからないんだ。
もしかしてS級以上の魔獣がいるかもしれないの」
みんな黙り込んでしまう。
S級以上…
この前の魔獣ビル以上に厳しい戦いになりそう。
「でもさぁ。
わたしたちはWITCHESだよ。
負けるわけないじゃん」
「そうだねっ。
やるっきゃないよね」
美那子さんの言葉に、沙耶香さんが微笑む。
「そうねっ。
なんとかしなきゃね」
「いくよっ。みんなぁ!」
麻衣さんと睦美さん。
各ユニットのリーダーが合わせる。
こうなると、負ける気はしない。
これだけのメンバーだもん。
たかが、シュミレーターの魔獣。
WITCHESの敵じゃないよ。
わたしたちは心強い先輩たちの言葉に勝利を誓った。