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16 百剣の裕也

「麻耶リン」

「美月っ」

 お互い呼び合う。

 でも、胡桃みたいな安心感はない。

 胡桃なら、安心して背中を預けられるのに…

 でも、やるっきゃない。


 そのとき

 新道とわたしたちの間に、

 ポケットに手を突っ込んだ裕也が入る。


「ふぅん」

 そういいながら周りを見回す。

「てめぇ。裕也。

 おまえもやるのか」

 新道が裕也に近づいて睨みつける。

「いや…

 ここも北地区だったよな」

「あぁ…

 しかし、お前の傘下に入った覚えはねえな」

「ああ、そうだな。べつに玄武組にはおまえらいらねえよ。

 だが、争いごとは止めねえと、先輩方に怒られるんだよな」

「やるのか。

 いつでも相手になってやるぜ。

 お嬢たちだけじゃ、物足りないと思っていたところだからな」


 新道が部下に合図をする。

 木刀を持ったやつと鉄パイプを持ったやつが裕也の前にでる。

 

「百剣の裕也だったよな」

 

 百剣…

 もしかして…

 片手に50本ずつ持って…

 なんか笑ってしまうような光景…

 そんな想像をしてしまう。


 でも、今、1本の剣も持ってないし…

 どうやって戦うの???


「だれも本当に強いのかみたことがないっていうぜ。

 見かけだおしじゃねえなら、その実力見せてもらうぜ!」

 2人が同時に裕也に殴りかかる。

 その瞬間…

 鉄パイプと木刀が宙を舞う。


 わたしには、彼が2人の手を蹴ったのが見える。

 

 空を舞う武器を合図に、

 後ろから他の不良たちが押し寄せる。

 手にいろいろな武器を持っている。

 魔獣の力のないやつらは、武器にたよるしかない。


 裕也はその攻撃を身体を反らしてかわす。

 そして空を舞った武器は、計算したように裕也の手に戻ってくる。

 それを手にして、新道の部下に叩きつける。

 その瞬間、また木刀を空に投げる。


 裕也の行くところ、様々な武器が空に舞い上がる。

 ナイフ・木刀・鉄パイプ・チェーン。

 そして、その武器は裕也の所に吸い寄せられるように戻る。

 まるで、高度なジャグリングを見るような感じ。

 

 裕也の舞うような華麗な動きに目を吸い寄せられる。

 的確な場所に的確なタイミングで落ちてくる武器。

 それで、次々と襲いかかる敵に叩きつける。

 裕也の目の前の不良はどんどん倒れていく。

 

 百剣…

 その意味がわかったような気がする。

 今日は20剣くらいだけど…


 もう新道と数人の部下しか残っていない。


 裕也は動きを止める。


「これが百剣か…

 だが俺には通じないぜ」

 ガムで大きな風船を作る新道。


 でも裕也は新道を振り返らない。

 わたしのところに歩いてきて、わたしの肩を叩く。


「あとは任せたぜ。朱雀」

 そう行って立ち去る。


 その瞬間、新道たちの上から、空に舞い上げたすべての武器が降り注ぐ。

 ガム風船でそれをガードする新道。

 でも、その部下たちを直撃。

 とうとう敵は新道ひとりになるのだった。


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