13 動く銅像
翌日はごく普通の日常…
でも、こうやって学校来てるのが日常っていうのも、
アイドルとしてどうかなぁって思う。
でも、夜はきっちり仕事があるんだけど…
雄也は相変わらず横で熟睡だし、
麻耶リンとかは後ろでしゃべってるし、
新道は後ろで取り巻きとなんかやってるし、
先生は勝手に授業してるし…
これが、この学校の日常…
まあ、新道の取り巻きがやられる事件はまだ未解決だって思う。
もう、みんなは終わったものと思ってるけど…
そんなはずはない。
窓の外を見ながら考える。
そこには裏庭がある。
雑草で荒れ放題の裏庭。
その中になぜか銅像がある。
誰の銅像かわからないけど、偉そうにヒゲを生やしたおっさんの胸像。
まわりは雑草だらけで、なんでそこに銅像があるのかわかんないって感じ。
これが、7不思議の一つ…
動く銅像???
もともと校門の前にあったのに、自分でここに来たとか…
そういうのかなぁって思ったけど、いろいろ聞いてみると、前の理事長の銅像らしい。
なんか不祥事とか起こして、やめたんだけど、銅像の処置に困って、ここに放置されることになったらしい。
でも…あれっ???
なんかあそこに人が倒れてるっぽいっ。
銅像の近く…学生服の男の子…
麻耶リンに知らせるために、メモを丸めて投げる。
麻耶リンはメモを広げてうなづいた後、みんなを呼ぶ。
みんなが窓のところに殺到して、教室中が騒然となる。
もともとそうだけど、授業どころじゃなくなる。
新道の部下が一人、命令されて裏庭に走っていく…
こっちに合図する。
なんか、倒れてるの新道の部下のひとりみたい…
やっぱ7不思議なんだ。
わたしたちは裏庭に飛び出す。
犯人を捜すために。
さっきまで、人なんて倒れていなかったんだから、まだ犯人は近くにいるはず…
わたしは、とりあえずビー玉くらいの光弾を出す。
目標は銅像…
「いっけぇ!」
7つの光弾は銅像めがけて打ち出される…
でもそのはるか手前で弾かれる。
まるで、透明な壁があるかのように…
それから、銅像が後ろに下がり始める…
台ごと地面をひきずるように…
その場にいたものは全員、
その不思議な光景に目を奪われるだけだった。