表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/344

09 決闘

「美月っ。

 始まるよっ」

 敬子が耳打ちする。

 なんかわくわくしているみたいな敬子。

 もしかして、決闘を楽しんでるの???

 敬子って、格闘技ファンとか…


 スイカ頭が手をかざす…

 なんか楕円形のグレーの物体が現れる…

 筋がたくさんあって…

 触覚と無数の足が動いてる…

 これって?

 だんご虫???

 それも巨大な…

 

「あいかわらず、

 わけのわかんねぇ魔獣だな]

 赤パンクも手をかざす…

 そこには…


 ……

 きゃぁぁぁぁぁ!!!

 

 平べったくて、

 こげ茶色で…

 テカテカ光って…

 ギザギザの足…

 なんか触覚がヒクヒク動いてるし…

 

 もう…

 見ただけで気を失いそう…


 ダンゴムシより、もっとわけわかんないよ。

 ゴキブリの得意技って…

 生理的な嫌悪感を与えるのと…

 人を怖がらせるだけじゃなかったっけ…

 別に特殊な攻撃なんてない…

 まあ、タフなだけが武器。


 新道はただガムをかんでいるだけ・・・

 魔獣とかないの?

 もしかしてウィザード?


 時々、ガムを追加する。


「いくぜぇ。

 潰れちまえっ!」

 スイカの横でだんご虫が丸くなる。

 そのまま、転がり始める。

 新道に向かって・・・・


「スーパースピニングホイールFX!」

 スイカが言う。

 どんなにかっこいい名前をつけても・・・

 しょせん・・・だんご虫が転がってるだけだし・・・・

 ほかはいいけど・・・

 FXっていったい???


 新道は、軽くよける。

 やっぱ、ダメダメじゃん。


 でも、すぐに戻ってくる。

 だんだん速くなるだんご虫。


 新道はその前に立つ。

 ぶつかる!


 新道の口から風船・・・

 ガムで風船をつくったんだ・・・

 それがエアバックのようにだんご虫を弾き返す。


 跳ね返っただんご虫は、

 スイカ頭を襲う。


「ま・・・まてっ」

 動きが鈍いのかにげきれない。

 そのまま、まともに激突。

 黒板まで吹っ飛ばされる。


 だんご虫は霧のようになって消える。


「まず、一丁あがりだな。

 準備運動にもならなかったけどな」

 にやつく新道。


「つかえねぇ、やろうだな

 まあ、もともと期待してなかったけどな」

 赤髪の立花が鋲がいっぱいのロンドンブーツで伸びたスイカ頭を踏んづける。


「じゃあ、こちらも行くぜ。

 いけぇ。スーパーコックローチターボⅡ!」

 新道を指差して、赤パンクがポーズをとる・・・


 いくらかっこよく言ったって・・・

 ゴキブリだし・・・・


 えぇぇぇぇぇぇ・・・・・


 飛んでる・・・・


 きもすぎ・・・・


 教室は逃げ惑う女子の阿鼻叫喚地獄になる。


 教室の中を飛び回りながら、新道の隙をうかがう・・・


 新道はニヤニヤ笑いながら・・・

 口の中からガムを取り出して、ゴキブリに投げつける・・・・

 外れるとヨーヨーのようにガムの塊は新道の手に戻る・・・・

 ガムの糸がヨーヨーの糸の役目をはたしている。

 でも・・・・・

 それって・・・・

 新道の噛んでたガム・・・・

 きったねぇぇぇぇ・・・・・


 たぶんフォースの力だけ言ったら・・・

 麻耶りんの方が上だと思う・・・

 でも、麻耶りんがこいつに逆らわないのは・・・

 もしかして、絶対闘いたくないから???

 わたしみたいに飛び道具があればいいけど・・・

 麻耶りんは直接攻撃だから、絶対に無傷ではすまない・・・


「どうだ俺のウルトラコックローチターボXのスピードは?」

 得意そうに言う赤パンク。


 って・・・

 名前変わってるジャン。


「どうかなっ」

 余裕の表情の新道。


「ぬかせっ!」

 赤パンクはゴキブリをけしかける。

 今度は素早い動きで這って新道の方へ・・・・


 ぶつかるって思った瞬間に

 新道が手に持ったガムを床に叩きつける・・・・


 ゴキブリの動きが止まる・・・

 手足をバタバタ動かして・・・・

 触覚を必死で振る・・・

 でも、新道のところに届かない・・・・


「秘技、ゴキブリとるとる」

 にやけた顔でゴキブリに近づいて、頭の部分を踏みつける。


 あっ・・・

 もしかして、あの家の形をして粘着テープを敷き詰めたやつ・・・・

 あれと一緒で・・・・

 ガムの粘着力で・・・・


 魔獣は霧のように消える・・・・

 魔獣を倒された立花はその場に膝をつく・・・・

 勝負は決まりだ・・・


「これで、この学校のトップは俺だな」

 新道は、宣言する。

 時々、チラッと麻耶リンの方を見る。

 気づかないふりの麻耶リン。


「裕也・・・・おまえもやるか。

 北地区のヘッドなんだろ」

 調子に乗る新道・・・・


 でも、知らないけど、裕也って、大和とか青龍さんと同じレベルなんでしょ。

 この程度で調子に乗ったら・・・・

 たぶんリミッターがなければ、わたしでも秒殺できる。


「やめとくよ・・・・」

 裕也は、挑発に乗らず、立ち上がって教室を出て行く。


「トイレ行こうっ」

 麻耶リンがわたしの袖をひっぱる。

 わたしたちの教室をでる。 


 あとには、得意そうに、学校のヘッドになったことや裕也が逃げたことを話す新道ととりまきたちが残った。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ