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06 新道誠二

「いくらなんでもさぁ。

 酷いと思わない?」

 目の前にはハンバーガーとポテトとシェイク・・・

 昼からの授業はバックれて駅前のハンバーガー屋に来ていた。

「はいはい・・」

 あきれた顔のゴリラちゃん。

 あっ、でも、わたしの中では今は、

 『ゴリラちゃん』は『麻耶ちゃん』もしくは『麻耶りん』に昇格していた。

 話して見るとなかなかいい子たちだし・・・

 『その他の2人AとB』も『美樹』と『敬子』に昇格していた。

 

「でもさぁ。

 そのクールなとこもいいんだよね」

 うっとりとした表情の麻耶リン。

 完全、恋する乙女だ。


「うんうん」

 美樹と敬子も同意する。


「でもさぁ。

 なんで美月って裕也くんと知り合いなの?」

「うん、友達の友達なんだ。

 一度だけ会ったことあるから・・・」

 ごまかしておく。

 でも、この香水って効果抜群かも。

 だって、この子たち、裕也のファンってことは前の番組見てるはずなのに・・・。


「美月ってすげえ面白いよ。

 うちらのチームに入れてあげる。

 なんか、さっきのジャンプもすげえし・・・」

「うん・・・・」

 郷に入っては郷に従えっていうし・・・

 顔を縦に振る。

 その後、普通に女子トークが始まる。


 いろいろと学校のことも教えてもらう。

 でも、不良だから勢力関係とかそんなことばっかだ。


 まず、この聖華学院には、3人の頭がいていろいろと争いが耐えないってこと。

 そのうちのひとりが2年でわたしたちとおんなじクラスの新道誠二。

 その3人のヘッドのうち、いちばん切れててやばい奴らしい。

 麻耶リンにもしきりにモーションかけてて、なんかダサいお誘いとかしてくるらしい。

 でも、北地区ヘッドの裕也くんには一目置いていて、様子を見ている。


 でも、最近、新道の取り巻きのひとりが闇討ちされて、入院中。

 あの私の机の花は麻耶がやったのじゃなくて、いじめられっ子の一人が新道に逆らって、

 ボコられた後、学校に来てないってことで冗談で置かれたってこと。


 あとは裕也の話ばっか・・・

 もう、ぞっこんって感じ・・・

 麻耶リンだけじゃなくて、美樹も敬子も・・・


 そこに、男子のグループが入ってくる・・・

 さっき言ってた同じクラスの不良男子だ・・・

 取り巻きの男子と大声で話しながら・・・

 普通っぽい2人の男子がトレーを持たされている・・・

 完全パシリって感じ・・・

 

 取り巻きの一人が、わたしたちの隣の席の人に何か言う・・・

 隣の男子たちが、その場所をあける。

 急いでトレーに全部乗せて、遠くの席に移る。


 その開いた席・・・・

 麻耶リンの隣に新道が座る・・・・

 取り巻きも一緒に・・・


 なんか嫌なやつ・・・

 

「なあ、麻耶。カラオケでもいかねえか」

「あっ・・・うん・・・また、今度ねっ」

 麻耶リンが引きつった笑みで応対する。

「あっ、こいつ転校生じゃん」

「うん・・・ちょっといろいろ話してるの」

「へぇ」

 わたしの顔を覗き込む新道。

 ツンツンと髪の毛を尖らせた頭。

 痩せてて、神経質そうな顔。

 ぜんぜんタイプじゃない。

 わたしの中で「ザコA」って自動的に名づけてしまう。

 もし、3連リミッターなかったら3秒でぶっとばしてるはず・・・

「なかなかかわいいジャン」

「そうでしょ。美月ね。彼氏いないらしいよ。それでさぁ。うちの学校の男子のこと教えてたんだ」

 何言うの?

 もしかして、押し付けようとかしてる???

 麻耶リンを睨みつける。

 麻耶リンの仕方ないでしょって顔。

「じゃあ、いっしょに行けばいいだろ。こっちは5人いるし」

 しつこくナンパする新道。

 でも、麻耶ってそこそこ強いのに、なんでこんな奴シカトしないの?


「うん・・・美月・・・どうする?」

 こっちに振るの?

「わたし・・・・」

「行くんだろ。なあ」

 自信たっぷりの新道。

「机の上の花、増やしてやろうか?」

 すごみを効かせる。

「あっ・・・あの・・・」

「美月はわたしのマブトモだよ」

「わりぃ。でも、行こうぜ」

「美樹もケイもいいの?」

 振りまくりだよ・・・

 麻耶りん・・・・

「うん・・・いいよ・・・麻耶がいいんなら・・ねぇ」

 美樹と敬子も引きつった顔を見合わせる。

「じゃあ、決まりだな」

 嬉しそうに笑う新道。


 わたしたちはハンバーガーを食べ終え・・・

 憂鬱な気持ちで上機嫌の彼らの後に続いた。


 猫型ロボットアニメのデブないじめっこのコンサートに向かうヒロインの気持ちがわかるような気がした。


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