04 しめあげ
休み時間・・・
ユウヤにいろいろ聞こう・・・
でも、その前に・・・
「ちょっと来て・・・」
授業の後、3人の女子に声をかけられる。
なんか、学校内を案内してあげる。
仲良くしようねって感じじゃない。1
そのまま女子トイレに連れて行かれる。
なんかマンガでありげなパターン。
壁際に追い込まれて、
彼女たちと対峙する。
「この学校のこと教えてあげるねっ」
ギャルっぽく短めの赤チェックのスカート。
スポーツしてるわけじゃないのに小麦色の肌。
なんか肌荒れてるし・・・
胸元を開けた白ブラウス。
紺ハイ。
フルメイクで目元真っ黒だし・・・
個性のない格好だ。
「さっきの人はユウヤくん。
知らない?
今、人気のDEEP★BLUEのギターやってるの」
「こいつ田舎もんみたいだから知らないんだよ」
3人は大きく笑う。
ツマンナイ冗談。
「だからぁ、お前みたいなダサ子が声もかけちゃいけないの」
いちおうアイドルなんだけど・・・・
でも、WITCHESであることはしゃべっちゃダメ。
「ユウヤくんは、ここにいる麻耶さんが狙ってるんだからね」
真ん中にいる子を指差す・・・
まあ、元は悪くないんだけど、趣味悪すぎ。
ストレートヘヤーで半分くらい金のメッシュが入って・・・
「まあ、いいジャン。
来たばっかなんだから」
なだめるように言う麻耶って子。
「知ってる?
麻耶さんはね。
南地区を治めてる朱雀ってチームのナンバー2なの」
うん、知ってるよ。
そのチームなら。
だって、わたし。
沙耶香さんに頼まれて、一応、3代目朱雀就任って感じになっちゃったし。
沙耶香さんと同じで仮面をかぶってだけど。
集会も一度だけ行ったことある。
こんな子いたかなぁ・・・
思い出せないよ。
たくさんいたから。
「それからね。
ユウヤくんは、北地区を治める玄武ってチームのヘッドでもあるの」
なんかうざいくらいに解説してくれる。
うん、大和から聞いたよ。
玄武のあとがまだって・・・・
なんかそう強そうに思わないんだけど・・・
「わかるよね。
わたしたちに逆らったらどうなるか?
そういえば、アンタの机の上の花・・・
別に死んだってわけじゃないけど。
うちらがちょっとしめてやったら、
学校来なくなって・・・」
ドゴッ
大きな音・・・・
麻耶って子の手がトイレの壁をそぎ取る・・・・
本当にわかりやすい脅し・・・
削ぎとったコンクリートを握り締めてパラパラと床に落とす。
得意そうな顔で・・・
「麻耶さんはねっ。
LOVE WITCHESのオーディションで一時予選通過まで行ったんだよっ」
って書類審査だけじゃん。
10人に一人くらい通るし・・・・
でも、まあ、なかなかの力・・・・
心の中でこの子のこと『ゴリラちゃん』って呼ぶことに決めた。
でも、怪力でも希美のほうが上なんだけど・・・・
「こいつびびってないよ」
なんかばれちゃったみたい。
心の中でつっこみまくってるの。
右側の女がわたしのブラウスの胸を掴みに来る。
やばいっ。
でもちょっとだけならいいよね。
手を右から左へ・・・
直線を描くように・・・・
赤い玉だけが現れる。
でも、ビー球くらいの大きさ。
なんでっ?
そういえば、学校ではフォース禁止・・・・
3連リミッターをつけられてるんだった。
「きゃはは、何。それっ」
「フォースのつもりっ?」
左右の娘が笑う。
仕方ないっ。
逃げるコマンド実行っ。
身体能力は大丈夫なはずだから・・・・
大きくジャンプ。
そのまま宙返りをして天井を2・3歩走る。
そして、天井を蹴って、
彼女たちの後ろに着地・・・・
そのまま、走って廊下へ・・・・
彼女たちも追ってくるけど・・・・
鍛え方が違うよ・・・・
だんだんスピードが上がるわたしに比べて、
だんだん減速する彼女たち・・・・
そんなんじゃ、LOVE WITCHESになれないよ。
ちゃんと基礎体力のテストだってあるんだから・・・
わたしは教室に駆け込んで、裕也の後ろに隠れて、
遅れて教室に入ってきた彼女たちにアカンベーをした。