02 学校!!!
「えーっ!転校!」
小松原さんの言葉にわたしは大きな声を上げる。
「うん、一般の学校にねっ」
スーパーマネージャー小松原さんの困ったような笑顔。
「だって、仕事とかあるじゃん」
「そこのところも話ついてるから」
「いいじゃん。研修所で・・・
高校卒になるんでしょ。」
「それがね・・・・
美月の場合・・・・」
口ごもる小松原さん・・・
「わたしの場合って、なによっ」
わたしはマネージャーに詰め寄る。
「言いにくいんだけど・・・・
成績がねっ・・・・」
その一言でわたしは黙り込む。
その隙に早口で言う小松原さん。
「最低点に達してないの。
研修所って普通の学校と違うでしょ。
だから、留年の基準が厳しくてね。
普通の学校なら追試とかで助けられるんだけど・・・
研修所の場合は、そういうのダメなの。
あくまで、みんな優秀だから学校じゃないところで勉強しているっていうのが建前だからね。」
絶句するしかない・・・・
でも、なんで・・・わたしだけ・・・
「優菜は?」
「トップクラスだよ」
「胡桃は?」
「うーん、中間くらいだよね」
「あっ・・・栞は・・・
なんか勉強とかやってそうもないし」
「学年2位」
だんだん力が抜けていく。
最後の砦・・・
「希美は・・・」
「学年トップです!」
うそだぁ・・・・
「美月さん・・・
留年したらどうなるかわかる?」
泣きそうな顔で首を横に振るわたし・・・
「たぶん、LOVE WITCHESをやめてもらうことになるわ。
まあ、いままでそんな子はいないんだけどね。
他の子は車の中とかで参考書とかで勉強してるけど、
美月はそんなとこないし、
余裕だと思ってたけど・・・
卑弥香さんはそういうのに厳しい人だしね・・・
せっかく人気でてきたんだけどね・・・
残念だわ」
わたしは小松原さんの袖をひっぱる・・・
「まあ、転校してくれるのね」
もう、首を縦に振るしかない。
「じゃあ、これパンフレット・・・
送り迎えは車でしてくれるから。
あと、制服とか教科書とかはあとで届けるわ」
忙しそうに席を立つ小松原さん。
そんなこともっと早く言ってよ。
もう、お仕事だけで、勉強なんてしなくていいと思ってたのに・・・
ひどいよ!
でも、泣いても笑っても、こうなったんだから仕方ない。
他のメンバーには特命で学校潜入ってことにしてくれるらしいから・・・・
わたしはあきらめたように、
パンフレットを手にとって中を確認した。