26 芭蕉扇
「なかなかいい目してるわね・・・」
女が少し微笑んでわたしを見る。
わたしは無言で構える。
わたしがロッドを振ると、
その軌跡に7つの玉が浮かび上がる。
「わたしは羅刹女・・・・
あなたは?」
「海崎美月!」
はき捨てるように言う。
「そう・・・・
そう言う目を見ると潰したくなるの。
すぐに変わるわ・・・・
助けを請う、哀れな目にね・・・」
ぞっとするような微笑・・・・
獲物をもてあそぶ猫のような・・・・
とりあえず、レインボーシュート・・・
7つの玉を羅刹女に向けて放つ!
羅刹女は扇をこっちに向けて・・・
扇ぐ・・・・
すごい風がわたしと光弾を襲う・・・
台風・・・・
もっとすごい・・・
わたしが浮き上がるくらい・・・
1回軽くあおいだだけなのに、、、、
壁に叩きつけられる・・・・
光の玉たちも一緒に・・・・
「無駄だよ。
わたしの宝具にそんなの効かないよ」
やばいっ。
そういえば、研修所で習ったけど、
世界には108の宝具って言われる武器があると言われていて・・・
そのひとつが愛莉さんの持ってる「魔王の槌」・・・・
そして・・・
その宝具は誰にでも扱えるものではなくて、
持ち主を選ぶらしい・・・・
こいつ・・・・
その一つの使い手なの?
「レインボーイリュージョン!」
わたしは気を取り直して、再び必殺技を出す。
そう、これしかないんだ・・・
わたしの周りを回り始める光弾・・・
「無意味っ!」
扇を一扇ぎする羅刹女・・・
わたしの光弾は壁に叩きつけられる・・・・
絶望的・・・・
まるで歯が立たない・・・
じゃあ、トールは?
わたしは黄色い玉に意識を集中する・・・・
「僕じゃないよ。
上を見て・・・・」
心の中に木霊する声・・・・
わたしは上を見上げる・・・・
そこには緑の玉が浮かんでいる・・・
さっきより大きくなって・・・・
「トールの他に何かあるの?」
「試してみて・・・・」
「どうやるの???」
「風神シルフィードを解放するんだ・・」
「やってみる」
わたしは緑の玉に意識を集中する。
トールを解放したときみたいに・・・・
「風神、シルフィードを解放する!」
心の中で言う。
届いて・・・
風神さんへ・・・
そういう思いで・・・・・
上を見ると緑の玉がはじける・・・・
少年の形になる・・・
「やあ・・」
少年はその場に浮いたまま、わたしに微笑みかける。
わたしも彼を見上げて微笑んだ・・・・