25 魔獣ビル21階
満身創痍のわたしたち・・・・
ウィザードの力はかなりの精神力を使う・・・
みんな、もう闘える状態じゃない。
でも、敵のリーダーは大和がやっつけてくれたし、
まあ、ハッピーエンドかなっ。
「じゃあ、俺たちはこの上に用事があるから」
大和と青龍は21階につながる階段の方へ歩き出す。
「わたしも行くわ」
後に沙耶香さんが続く。
もしかして、この先に影のボスとかが待ってるの・・・・
ゲームでも、表のボスを倒したら・・・
みたいに・・・・
でも、もうみんな助け出したんだからいいじゃん。
沙耶香さんはわたしの手を取る。
「えっ???」
「美月も行くよねっ」
でも、周りを見回しても戦えるのはわたししかいない。
唯一戦ってない沙織さんはヒーリングでみんなを治してるとこだし・・・・
沙耶香さんに言われると拒否なんてできるわけがない・・・
「はい・・・」
そう、答えて後に続く。
階段を上がると、豪華な部屋・・・・
その中に一人の白いスーツの男の人・・・・
「おわりましたか?」
眼鏡がキラって光る。
「白虎・・・・」
青龍が呻く・
「たぶん、あなたが動くと思っていましたよ。
朱雀と玄武は全滅ですね。
あの人たちに彼女たちを潰せるとは思っていませんよ。
よくて相打ち・・・・
もしくは返り討ちですよね
ククッ・・・・」
「とにかく、ゲームは終わったんだよ。
総長が帰ってきたんだからな」
「いえ、まだですよ。
あなたがた全員を倒せばね。
総長は想定外でしたが、
別に大きな問題ではないでしょう」
「兄貴の後ろで震えてたガキがいきがるんじゃねえよ」
「ええ、でも白虎兄弟の名前はわたしの力によるものなんですよ。
それに、もうあの頃のわたしではありません
それと・・・・」
もう、飛び出しそうな大和。
でも、沙耶香さんが大和を抑える。
「それにですね。
ここは魔獣ビル21階ですよ。
この意味わかりますよね」
「魔界の入り口って言いたいんだろ」
「ええ、地上のもので20階より上に入ったものはいないということです。
一説では魔界に通じているともいわれていますが・・・・
とにかく、計り知れない能力者がいることはわかりますよね。
たぶん、あなたたちが束になってもかなわないくらい」
白虎の後ろにいつのまにか3人のフードをかぶった影。
「そいつらと手を組んだってわけか?」
「そう、この街はわたしが支配する。
そして、彼らにわたしの得たものを半分進呈する。
彼らも地上とのパイプができるわけです。
合理的でしょう?」
悪魔のような微笑を浮かべる。
「気にいらねえな」
大和が前に出る。
「おまえの兄貴が聞いたらどうすんだろうな」
「黙れっ!
兄の話はやめろ!」
取り乱す白虎。
「兄貴は向こうに残ったんだよ。
この街は弟がいれば大丈夫だって言ってな」
「嘘だっ!」
頭を抱える白虎。
「今なら間に合うよな。
こんな奴らに力を借りたらどうなるかわかったものじゃない」
フードをかぶった3人・・・・
その真ん中の奴の前に大和が出る。
いきなりパンチを叩き込む。
でも、ふわりと飛ぶように避けるフード。
まるで、フードだけで本体がないような感じだ。
また、少し後ろに舞い降りる。
その横の大きいフードが脱ぎ捨てられる。
さっきの玄武っていう男より、一回り大きい感じ。
両手に剣を持っている。
刃の太い剣。
まるで、アラビアンナイトに出てきそうな。
でも、その大きな剣も男が持つと包丁くらいにしか見えない。
隣の細い影もフードを脱ぎ捨てる・・・・
こんどはチャイナドレスの女の人・・・・
扇を持って、涼しい眼をしている。
なんかヤバゲな雰囲気・・・・
さっきまでの敵でも大変だったのに・・・
それ以上のオーラを持っている。
でも、やるしかない。
わたしもWITCHESなんだから、
わたしはチャイナドレスの前に出て、その女を睨みつけた。