24 大和と青龍
いきなりわたしの肩を掴む大きな手・・・・
だれっ???
わたしは振り向く・・・・
「どきなっ。
これは俺たちの問題だ!」
振り返ると・・・
大和ともう一人の男が立っている。
金髪のリーゼントに濃いサングラス・・・
黒の革ジャン・・・・
昔の不良の格好・・・・
「そうだろう?
玄武よ」
リーゼントの男が玄武に対峙する。
「青龍。
じゃまをしにきたのか?」
玄武は美那子さんを放り投げる。
「いや、総長が帰ってきた。
それを伝えにな。
これで闘う理由がなくなっただろう」
「総長だと・・・・
もしかして、
その後ろの奴か?」
玄武が吼える。
「そうだ」
青龍という男の口数は少ない。
でも、わたしたちが動けなくなるような迫力がある。
「じゃあ、そいつを倒せば俺が総長と言うわけだな」
血走った目で笑う。
「その前に俺が倒せるのか?」
青龍という男が玄武の手前に立つ。
大きな人、玄武も大きいけど頭ひとつ抜けている。
でも、身体は玄武と違ってスリムだけど・・・・
「怖くねえよ。
視力を失った負け犬なんかな。
知ってるぜ。
北から来たやつに秒殺されたってな。
いきがるんじゃねえよ」
「試してみるか」
一触即発の状況。
もう私たちは見ているだけ・・・・・
「青龍・・・
いいよ・・・」
大和が後ろから声をかける。
「久しぶりに見せてやるよ。
この雑魚に格の違いってやつをね」
ポケットに手をつっこんだまま。
余裕の表情の大和。
こいつわかってんの?
美那子さんと麻衣さんでもかなわなかったんだよ。
「さあ、やろうか」
ポケットから手をだして構える。
ボクシングのポーズ。
「玄武、知らねえぞ」
青龍は玄武にそう言って道を譲る。
「どっからでもこい!」
挑発するように両手をだらりと下げる玄武。
ガードしなくても効かないって自信。
大和がゆっくりと前に出る。
そのまま、パンチを2、3発繰り出す。
胡桃と違って重そうなパンチ。
玄武の顔、胸、ボディにヒットする。
「効かねえって言ってんだろ!」
ニタリと微笑む玄武。
「いいのかよ。
そんなに受けて・・・」
あきれたように周りを回りながらゆっくりとパンチを当てていく大和。
「だから、どんな攻撃も???」
なぜかよろける玄武・・・・
どうしたの?
「硬いのは、表面だけだろ?
やばいぜ。
このまま衝撃を受け続けたら・・・」
哀れむような目で玄武を見る。
「中身はグチャグチャにシェイクされちゃうぜ」
大和の目に狂気が浮かぶ。
そして、玄武の目に怯え・・・・
「じゃあ、一気にいくぜっ♪」
大和がラッシュをかける。
無数のパンチを繰り出す。
「や、やめてくれ・・・
悪かった・・・・
負けを認める!」
でも、大和はパンチを止めない・・・
何度も何度もパンチを繰り出す。
玄武が血を吐く・・・
それでもやめない・・・・
もう、やめて・・・・
勝負ついてるよ・・・・
こんなの大和らしくないよ・・・
「やめてっ」
わたしは大和の後ろから抱きつく・・・・
振り返る大和・・・・
前にあったときの目に戻っている・・・・
「美月・・・・」
わたしの名前を呼ぶ。
「うん、もういいよね?」
わたしは潤んだ目で大和を見つめる。
「ああ・・・・」
大和はうなづいて優しい目でわたしを見下ろした。