表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LOVE★WITCHES (魔女アイドルグループの物語)  作者: PYON
第10話 神機エンジェルズ
335/344

01

「それで、我々北都の軍隊を送って欲しいとのことですかね」

 北都の軍司令部の会議室。

 ロマンスグレーの短髪を後ろに撫で付けたしかめっ面の司令官を中心として、北都軍の幹部たちが一方に居並ぶ。

 そして、それに対峙するのがLOVE★WITCHESのリーダー2人。刀根麻衣、七咲睦美だ。

 魔獣王対策として神機の力を借りるために北都に来ている。

 

「いえ、それはいざという時の話です。

 今は二三機の機神を派遣して頂ければ…ということです」

 麻衣がそれに答える。


「じゃあ、俺行きますよ」

 挑発のチャラい男が手をあげる。

 軍服を着ていなければ、そこらのホストっぽい男だ。

 その姿からは想像もできないが、以前、北都ツアーの時、LOVE★WITCHESがテロリストに襲われたが、その時に活躍した北都の赤鬼といわれる機神乗りだった。


「だまれ、松島」

 司令官がたしなめる。

 

「でもさぁ。あの子たちに会えるんしょ。俺に行かせてよ。

 こう見えてもなかなか頼りになるんだぜ」


「覇流…そういうことじゃない」

 松島を制するのは、短髪の背の高い男。こっちは覇流のパートナーで青鬼といわれる機神乗りだ。


「しかし、これは国家の防衛の問題だ。

 たしかに我々の国家とあなた方の国家は同盟関係にある。

 それは条約に基づいた北からの防衛の話だ。

 それについては東都にも防衛費を負担いただいている」

 司令官は麻衣を見据える。

「魔獣王とかいうののために、こちらの戦力を割いて東都に回すことはできないということだ」


「いえ、軍隊はいりません。

 神機を数機派遣いただきたいということです。

 前回の魔獣王との戦いではわたしたちも相当の犠牲を強いられました」

 麻衣も司令官を見据える。普段は柔らかいキャラだが、LOVE★WITCHESのリーダーの一人でもある。

 その視線は司令官をもたじろがせる。

「それで、万全の備えで挑みたいということです。

 魔獣王は巨大な魔獣を持っています。

 巨大な魔獣も倒せないことはありませんが、どちらかというと神機のほうがそういう戦いは得意です」


「うんうん。

 そういうことで、僕がいきま~す」

 また覇流が口を挟む。

 それを止める慎。


「ほう、我々の大事な神機を盾にするわけですか?」


「そういうわけでは…」


「後方支援だよ。いざという時のね。

 基本はうちらだけで十分。

 あくまで、もしもの時に東都民を守ってほしいってこと」

 睦美が援護する。子供みたいに見えるが、こっちもリーダーの一人だ。


「これは東都の意思ですか?

 それとも…LOVE★WITCHESとやらの話ですか…

 女子供のお遊びなら…付き合う筋合いはありません」


「知事の許可はいただいています。

 これを…」

 封筒を取り出す麻衣。


「たしかに正式な応援要請ですね」

 書類を司令官が確認する。


「研修兵でも二三人派遣しましょうか」


「それは…」

「魔獣王をなめちゃだめだよ」

 麻衣は当惑…睦美は怒っている。


「研修兵といってもあなたたちが10人がかりでも倒せませんよ」

 司令官は余裕の表情で笑う。

 ここでは機械至上主義がまかり通っている。

 魔法は機械に勝てないと思っている。


「試してみようか。そっちが10機でいいよ」

 睦美が挑戦的な目で言う。

「睦美!」


「ちょっといいですか?」

 女性の士官が手をあげる。黒髪の隙のない目をした女。


「月島少尉。なにか」


「いえ、彼女たちにそれほどの力があるとも思えないので…

 それほどの脅威なら一軍を送ったほうがよいのではと思いまして…

 なんなら、我々、女性部隊神機エンジェルズが対応しますが…」


「エンジェルズか…

 単独では初めての作戦となるな」


「帝国との戦いでも、着実に成果を上げていると思っていますが…」


「ひとつのチームを送るとなると…いろいろと…」


「しかし、前回の魔獣王との戦いでは東都も相当の混乱があったと聞いています。

 我々なら制圧にそんなに時間はかかりません。

 そもそも、魔女なんて不確定なものに都の治安を任せるなんてことが理解できません。

 自由都市連合すべてが、我が軍を中心にまとまるべきなのです」


「しかし…」


「いえ、あくまで後方支援で結構です」

 麻衣が司令部の会話に口を挟む。


「あなたたちでは、以前のテロと同じことになります。

 東都の中心部を破壊され、住民たちを混乱に陥れたね…

 以前のテロを第一次魔獣戦争と呼んでいますが、わたしたちからしたらテロに過ぎないんです」


「じゃあ、試してみりゃいいじゃん。

 わたしたちの力をね」

「睦美!」

 ふてくされたようにいう睦美を麻衣がたしなめる。


「試してみる…」

 冷静そうにみえる月島が挑発に乗る。

「いいですよね。司令官。演習でも魔法使い相手ってなかなかできないですし…

 我々の力を知ってもらういい機会でもあります」


「まあ、いいだろう。

 お客様なんだからおてやわらかにな」


「はい。我々との力の差を理解していただきます」


「では、人選は我々の方で考えておこう」

 司令官は立ち上がる。

 そのあとに付き従って幹部たちが続く。


「ホントに俺がいくのに。美那子にも会えるし…

 司令官!やっぱ俺じゃダメっすか」

 司令官を追いかける覇流を慎が捕まえる。


「それじゃ。こちらへ…

 北都軍の力…見せてあげますわ」

 月島が麻衣と睦美のそばに来て、案内をする。


 麻衣と睦美は、月島のあとに続いて、演習場に向かった。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ