17 対決
「あなたは?」
落ち着いて沙耶香さんに向き直る女の人.
「沙耶香・・・・」
「わたしは・・・・」
女が口を開きかける。
「知ってるわ」
沙耶香さんは女と向き合う。
落ち着いている沙耶香さん・・・・
だめっ・・・
この人、時間を稼ごうとしているの・・・
毒ガスにやられちゃうよ・・・・
でも、身体が動かない・・・・
「へぇ・・・わたしも有名なんだね」
一歩も引かない女。
「いいえ、わたしが知ってるのは、過去のあなた」
「そう、もしかして末端組織にでもいたの?」
「わからないかなぁ」
壁際を歩く沙耶香さん。
ふいにその場にしゃがみこむ。
石動の倒れているあたり・・・・
仮面をとって自分の顔に当てる・・・
「どう?これで・・・」
「朱雀・・・・・」
初めて驚いた表情になる。
「そう・・・初代朱雀だよ・・・」
沙耶香さんは微笑む。
「そういえば・・・
私との対決を避けて、尻尾を巻いて逃げ出した先輩がいたわね」
意地悪く笑う女。
「わたしの居場所じゃないってわかったんだ。
ある人に会ってから・・・
だから、あなたに譲ったの」
「なんとでも言えるよね。
負け犬の遠吠えってやつかな」
「試してみる?
わたし、すごく怒ってるんだけど・・・
こんな感情はあなたたちと一緒にいた頃はなかったんだけど」
「そろそろ効いてくるはず・・・」
「何が?」
「沙耶香さんっ。
そいつ、毒ガスをつかうよっ」
やっと声が出る。
どうして・・・・
そういえば、身体もなんとか動かせるようになっている。
他のみんなも次々と立ち上がる。
沙耶香さんの足元に小さなブラックホールがあるのに気がつく。
「ガスを吸い込むくらいなら、この程度で十分だよね」
沙耶香さんはみんなを見て笑う。
「さぁて、ゆっくりと始末してくれるんだったっけ?」
愛莉さんが金槌を肩に担ぐ。
希美が大剣を構える。
美那子さんのバスケット光弾。
麻衣さんも木刀を構える。
「ひっ・・・」
逃げようとする女。
もう、さっきみたいな余裕じゃない。
でも、その逃げ道を胡桃とわたしが塞ぐ。
「粉砕だねっ♪」
愛莉さんが金槌を振りかぶる。
愛莉さんの反対側に逃げる朱雀という女。
そこには胡桃が回り込む・・・・
ボディに強烈な一発を入れる。
朱雀は崩れるようにその場にうずくまった。