13 部隊VSLOVE★WITCHES(02)
栞はつぎつぎと襲いかかる、ネズミを倒すのに必死って感じで、幻術を使う暇もない。
不思議な体術で防いでいるが、疲れが出ているのがわかる。
やっぱり小さな身体ではスタミナに難がある。
がんばれ、もう少しだよ。
春香は円月輪を2本にして、炎をまとわせる。
わたしも、8つの球を出して、相手を牽制する。
ネズミの後ろには巨大なオークと10人くらいのリリパット(小人)。
小人は弓を構えている。その弓で時々栞を撃つ。これも相当うっとおしい。
飛び道具のない栞にとってはよけるしかない。
こんな状況でよくやったよ。栞。えらいよ。
でも、春香とわたしがきた限りもう大丈夫。
「ファイアーホィール」
春香の投げた円月輪は、炎を纏い車輪のように地を走る。
切り裂かれるネズミたち。栞のところに行き着くと逆回転をして栞の退路を開く。
希美はその退路に沿って走る。小人たちの矢はわたしが光の玉で牽制する。小人立ちの中に光球を突っ込ませる。
小人たちに矢を番えさせない。オークの戦士も追いかけさせない。
栞はこっちに駆けてくる。
「ありがとうございました」
わたしたちのところに来たら、にっこり笑ってお辞儀をしてお礼を言う。
希美とちがって礼儀正しく可愛いやつだ。
「美那子先輩のとこへ行って、体勢を立て直して」
栞はうなづくとトテトテと後ろに走っていく。あっ、こけた。大丈夫。
すごい体術を使うくせに、こういうところが栞だ。
ネズミは倒したそばから再生していく。やっかいな敵だ。
たぶん、ネズミの中にボスがいて、そいつを倒さないかぎり魔獣使いの力が続くかぎりいくらでも再生される。
「どうする?春香」
「やっかいだね。とりあえず片っ端から倒すしかないか。ネズミたちはボスを守るからよく見といて」
春香は炎の車輪をネズミたちの中に闇雲に走らせる。
わたしもリリパットたちを無差別に光球で撃つ。こっちもたぶん魔獣使いは一人。倒したそばから復活する。
ボスが核を持っていて、それを倒さないと何の意味もない。
優菜の氷魔法みたいな範囲攻撃があればいいんだけど…わたしの光球が纏う魔法は単発攻撃しかできない。
わたしたちの無差別攻撃は相手を混乱させるだけ、核は壊せない。
それだけでなく、硬い装甲を持ったオークが前に出てくる。
混乱してもすぐに体勢を立て直すネズミと小人たち。
やっぱどれがボスかなんてわからない。
「美月っ。何ちんたらやってんだ」
後ろに大きな影。まさかこの声。
わたしが振り返ると、長身の女性が肩に大金槌を担いで白い歯を見せ笑っていた。