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11 魔獣部隊

 美那子先輩や胡桃が戦っているとこに私たちは合流する。

 その前では、希美や栞も敵を蹴散らしている。

 普段の魔獣退治は、1匹か2匹の魔獣を倒せば終わり。

 でも、10人以上の魔獣使いがわたしたちを取り囲む。

 それも、ただの暴漢じゃない。

 組織的な動きをする。

 かなり、鍛えられている動き。

 まるで軍隊のような考えられた動き。

 1対1なら希美や栞が上なんだけど、2対以上の魔獣が連携して魔女たちを分断する。

 それも、とことんまで攻め込まずにある程度で引く。希美や栞はかなり体力を消耗している。

 確かにLOVE★WITCHESの中でも強い2人。

 でも、一番の年下で身体の小さい2人だけあって体力に難がある。

 そこを突かれる。美那子先輩や胡桃が交替しようとしても、すぐに2人が取り囲まれてしまう。


 美那子先輩と胡桃も同じ。相手は戦力を集中させることを防ぐ。

 希美や栞を助けにいくこともできない。

 相手は魔獣だけではない。生身の戦闘力もかなり鍛えられている。

 

「行くよ、美月」

「うん。春香」

 わたしたちは戦闘モードで、その戦いの中に突入する。

 

「春香入ります」

「遅いよ。美月」

「すいません。大丈夫?胡桃?」

「こっちは大丈夫。栞と希美を手伝ってくれる。ちょっと休ませなくちゃ」

「じゃあ、美月。突っ込むよ」

「うん。じゃあ援護たのむ」

 私と春香はまず希美を囲む輪に突っ込む。

 今は力を分断すべきじゃない。

 一人ずつ、こっちに戻して態勢を立て直すのが目標。


 希美の相手はゴーストと蜂の魔獣使い。

 物理攻撃が通じにくい敵と空を飛ぶ敵。両方とも希美の苦手とする敵だ。

 希美の攻撃は大剣による攻撃。ゴーストは攻撃を擦りぬけるし、大剣を持ったまま大きなジャンプはできない。


 わたしはゴースト。春香は蜂に向き合う。

 まわりを囲むのは、狼や虎の魔獣。こいつらはとりあえず無視だ。

 わたしたちをひとつの敵に集中させないようにしているだけ。


「希美っ。美那子先輩の方へ行って」

「……」

 希美は無言でうなづく。ほんとに無口なやつ。でも、疲れてるのはわかる。

 これだけの相手に翻弄されてたんだ。それも相手はこっちを疲れさせてゆっくりとひとりずつ倒していく作戦。

 案外、単純だけど有効な作戦だ。でも、時間をかけたのは間違い。わたしたちが到着したんだから。


 わたしは、トテトテと大きな剣を背負って後ろに走っていく希美を追いかけようとするゴーストの前に光球を展開する。

 春香も空から希美を襲おうとする巨大蜂の前に円月輪を投げる。

 わたしたちが相手だよっていうように、希美の退路に立つ2人。

 とりあえず栞のこともあるし、速攻で片付ける。

 わたしは春香と顔を見合わせてうなづく。


 ゴーストのまわりを回る光球。この手の敵は核に当てないと何の意味もない。

 わたしは、核を探ろうとする。でも、その横から狼の魔獣と魔獣使いが攻撃をしてくる。

 あーっ。うぜえ。集中できないじゃん。

 黒い球を呼び寄せて狼を牽制する。すぐに離れる狼の魔獣と魔獣使いの剣士。

 魔獣使いを倒すには魔獣使いからの法則を使おうとしても、ゴーストの魔獣使いはこいつらに守られている。これじゃあ、希美も翻弄されるわけだ。

 春香も同じ、巨大蜂の動きに集中できない。虎の魔獣がちょっかい出してくるため、円月輪を一本手元に残している。

 炎の輪を展開するほどに集中力を貯めることはできない。


 こんなやつらを4匹とも相手にして、互角に戦ってた希美に敬意を払う。

 同時に作戦変更。春香も同じことを考えてる。

 共闘しかない。わたしたちも相手と同じことをする。そしてわたしと春香は1+1は2じゃない。

 3にも4にも5にもなる。


 わたしと春香は近づいて、背中を合わせる。

 よし、反撃開始だ。LOVE★WITCHESの誰とでも息をあわせることはできるが、やっぱ春香と胡桃は別。

 背中をあわせてもいちばん安心できる。まるで、エネルギーがチャージされるような感じ。

「美月。右っ」

 わたしは右から迫る虎に黒い球を叩き込む。

 左からの狼は春香が防ぐ。

 空中からもゴーストが火の球の魔法を唱え、わたしたちを襲う。

 その魔法はわたしの赤い球に吸収される。

 空から急降下する巨大蜂を春香の1本の円月輪が切り刻む。

 相手も致命症を受けないうちに退く。ヒットアンドアウェイ継続ってことだ。

 こっちも守りは完璧。でも、ここからだよ。春香とわたしの力は。

 わたしたちは、目線で合図を送ると、同時に前に進み出た。


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