09 魔獣出現
携帯端末を開くと安城さんからの呼び出し。
司令室に向かう、その途中で春香と合流する。
「春香。何か聞いてる?」
「うぅん、でも魔獣王の関係でしょ」
春香から魔獣王が東都湾に出現した魔王城に入ったことを聞く。
さっきは、正憲のことで精一杯だったから、そんなことあんまり聞いてなかった。
やばい、春香に聞いてないと、またおバカって言われるところだった。
魔獣大戦…それは研修所でも何度も習ったLOVE★WITCHES最大の戦い。
魔獣使いが結束して東都を襲った戦い。戦闘は熾烈を極め、最後に卑弥香さんが魔獣王を封印したはず。
そういえば、正憲といっしょにいた男も魔獣王とか言ってた…
司令室に入ると、慌ただしく動き回る人たち。
わたしたちは、まっすぐ安城さんのところに向かう。
「春香に美月。遅いよ」
「すみません。それで…」
春香はモニターを確認しながら、安城さんに聞く。
こういう時は黙っているに限る。
また、的外れなことを言って、春香に怒られるに決まっているから…
美月が口を出すと話がややこしくなるってことらしい。
「巨大魔獣が東都湾に現れたの。
たぶん、あの奇岩島プリズンを襲ったのと同じやつね。
他の魔獣使いたちも湾岸に乗り上げて、暴れているらしい」
「すぐに迎撃に向かいます」
敬礼をする春香。
「たぶん、こっちの態勢が整う前に東都を制圧しようとしてるんだよ。
この奇襲は、やつらの焦り。
この戦い、主力をこっちに残したわたしたちの勝ちだよ」
「はいっ」
「とりあえず、美那子のところに行って、巨大魔獣の迎撃ね。
油断するんじゃないよ。やつらの戦力の全貌も把握していないし」
「わかりました」
「つまり、美那子先輩のとこへ行って、敵をぶっ飛ばすってこと…」
「まあ、美月は美那子の指示どおりに動くんだよ。勝手なことしない」
こくんこくんって首を縦に振る。
「春香、美月をたのむよ」
「はいっ」
やっぱ、信用ないんだな。こういう時は必ずしっかりものの春香とペア。
まあ、胡桃と春香はいちばん息のあったメンバーなんだけどね。
「美月行くよっ」
春香が駆け出す。その後ろについて、わたしも司令室を飛び出した。