05 魔獣王の使い(2)
「今回は、あいさつに参りました。
正憲くんも、我々の考え方に同調していただきましてね。
優れた魔獣使いが東都を治めるのが、一番いいって考え方にね。
後の2人も奇岩島から脱出させました。
玄武組、朱雀組の元の頭らしいですね。
祐也さんと、朱雀さんをかなり恨んでいるようですね。
正憲くんくらいの力はないが、働いてくれそうでしたのでね」
黒服は説明を始める。
その途中で麻耶リンが、堪忍袋の緒を切れさせてしまう。
「正憲。何バカなことしてるの?」
「岩崎さん。僕もいろいろ考えたんだ」
「力づくでもこっちに連れ戻す!」
麻耶リンはファイティングポーズを取る。
「無理だよ。岩崎さんじゃ」
「何言ってるの?正憲のくせに!」
宝具であるインビジブルハンド…神の見えざる手をつけた拳を正憲にぶつけに行く。
宝具の所有者と認められた麻耶リン。今やその体術は胡桃にも比肩すると言われている。
でも、その拳は正憲まで届かずに止まる。
ステルスジャイアント…そう…透明の巨人に正憲への攻撃ははじかれるんだ。
それだけでなく。麻耶リンの身体が空に持ち上げられる。
「岩崎さんじゃ。僕を止められないんだ」
以前の正憲は、自分の力をあまり分かっていなかったが、今の正憲は自分の力の使い方をマスターしている。
そうなると、この魔獣はやっかいな存在となる。
見えない巨人。それは十分Sクラス、神獣クラスの力だ。
「正憲なのに!正憲なのに!」
麻耶リンは何発もパンチを繰り出す。
でも、正憲は困った顔をしているだけ…拳は届かない。
「麻耶リン。ごめん。俺も自分を試したいんだ」
麻耶リンの動きが止まる。
正憲が自分の足で歩き始めたことにショックを隠せない。
あの頼りなかった正憲が強くなったのはわかる。
しかし、何もわたしたちの敵になるなんて、極端すぎてわけがわかんない。
「ということです。
これで、あいさつはおわりです。
今度は敵同士として戦いましょう」
黒い男はきびすを返す。
「今度会った時は、ひねり潰してやる」
「初代朱雀によろしくね」
スキンヘッドとチャイナドレスの女もその後に続く。
そして、最後に正憲がこっちに一礼をして、やつらの後に続いた。