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04 魔獣王の使い(1)

 祐也の携帯が振動する。

 ゆっくりとした仕草で携帯を手に取る祐也。

 何気ない行動がかっこいいっていうか。何をしてても絵になるっていうか。

 

「わかった…」

 相手の話に最低限の言葉で答える。

 無口でクールなところがいいのっていう麻耶リン。

 でも、もう少し可愛げがあってもいいと思う。


「美月…」

 わたしのところに歩いてきて、つぶやく祐也。

「行くぞ」

「えっ?」

 どこへ?なんのために?

 情報なさすぎ。


 でも、わたしの手をとり、引っ張るようにして歩いていく。

「ち、ちょっと」

「わたしも行くっ」

 麻耶リンも立ち上がりついてくる。


 引きずられるように、表に出ると3人の不良っぽい人たち。

 新道、立花、西条。

 あの魔獣学園で正憲をいじめてた奴らだ。

 でも、今は正憲の子分になっている。あのあと、副長に祭り上げられて、迷惑そうにしながらも、玄武である祐也の副長として頑張っているみたい。なんていっても、あのステルスジャイアントっていう透明の魔獣を使うし、並の魔獣使いじゃ正憲に勝てるわけない。それに、祐也の元でかなり鍛えてるらしいし、うちらでも簡単には勝てないなって思う。この前会った時は、魔獣学園の時みたいなオドった態度は息を潜めて堂々としていてまるで別人。それに、あんがい面倒見のいい性格だったらしく、玄武組では、すごく慕われていた。髪の毛もちゃんとしたら、案外イケメンだったみたいで、朱雀組にも正憲のファンは急増中らしい。でも、麻耶リン一筋なのか…彼女とかは作ってないみたい。


「祐也さん。大変です」

 新道が祐也を見つけるなり、近寄ってくる。

「正憲は?」

「その正憲さんが。信じられないっすよ。あの正憲さんが」

 さっきあったことを新道は語りだす。

 猿の魔獣使いに誘われて、正憲が玄武組を抜けたこと。


「でも、あの正憲が信じられないよ」

 わたしは、それを聞いて口をはさむ。

 とても、そんな野望とか持つ子に見えない。たしかに強くなったのは認める。

 でも、祐也やわたしたちに対して、特に麻耶リンに対して弓を引くなんて思えない。


「姉さん、俺らもなんかの間違いって信じたいですよ」

 やつらは、わたしのことをあねさんって言う。今は朱雀組の頭に祭り上げられているからだ。

 でも、こいつらわたしのことLOVE★WITCHESってわかっているの?

 まあ、こうやって外に出るときはメガネとかで変装してるんだけど…


「正憲が…そんなの許さないよ。正憲のくせに。祐也を裏切るだなんて…

 うち、ちょっと連れ戻してくるわ」

 麻耶リンも怒り心頭って感じ。

 麻耶リンは正憲の幼馴染。正憲のことを下僕みたいに思っている。

 最近の正憲の成長も麻耶リンはぜんぜん認めない。

「正憲にしてはよくやっているよね」くらいで終わってしまう。


「祐也はどうするの?」

 わたしは尋ねてみる。

「たいしたことではない。もどるぞ…」

「いや、でもあんたのチーム玄武の問題っしょ」

「正憲なら大丈夫だ…」

「祐也さん」

 不良たちは祐也に詰め寄る。


 その前に歩いてくる影。たしたちはそっちへ顔を向ける。


「あいさつしにきてやったぜ!」

「フフフ、あなたが新しい朱雀」

 スキンヘッドの大男。チャイナドレスの女。

 それに、あのメガネの子。正憲。

 それから、黒いマントの背が小さめの男。


「こいつです。この黒いやつです。正憲さんを連れて行ったのは」

 立花が黒いマントの男を指差す。


「玄武組の祐也さんですね」

 黒い服の男は祐也の前に進み出て、一礼をした。



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