15 初代 朱雀
「なにっ、これっ」
自分が倒れてるのはわかる。
意識だけがはっきりしている。
まるで幽体離脱したように・・・
倒れている自分を見下ろしているような感じ・・・・
全員がその場に倒れている。
「どうしたんだ」
「わからないよ」
口々に仲間たちの声。
「フフ・・・精神性のガスを充満させてもらったの」
倒れているわたしたちの間をゆっくりと女は歩き回る。
「わたしはこういったの大丈夫なんだけどね。フフ」
時々、ヒールで仲間たちの身体を踏みつける。
すごい性格してるよ。
むかつくけど、何もできない。
「さあ、ひとりひとりとどめをさしてあげるね。
ゆっくりとね・・・・」
女は短剣を出す。
たぶん、ひとおもいにはやらないはず。
あいつ、どうみてもSだもん。
真奈美さんを踏みつけて・・・
そこにしゃがみこむ。
「ふぅん、そうなんだ。
だから、カメレオンはやられたんだね」
女の指が真奈美さんの身体を突き抜ける。
「どうしようかなぁ・・・・
まあ、いろいろ試してみるよ。
ゆっくりとね。
毒ガスが効くってことは、
弱点がないわけじゃないよね・・・」
どうすればいいの???
何か・・・・・
そうだ・・・・
トール・・・
あの不思議な子なら・・・・
どうやって????
光の玉を出すように精神を集中・・・・
でたっ・・・・
でもビー球くらい・・・・
やっぱ精神が弱ってるんだ。
あきらめたらダメ。
わたしは黄色い玉だけに集中する。
だんだん大きくなる玉。
でも
ゴルフボールくらい・・・・
『魔神・・・トールを・・・解放する・・・』
これで精一杯。
『だめだよ。力が足りないよ・・・』
わたしの頭の中に声が響く。
『なんとか、がんばってよ』
『そういわれても・・・・』
困ったような声。
『なんか、前に出てきたときえらそうなこと言ってたジャン』
『でも、美月の力が足りないだけだよ。
ちゃんと召還してくれたら秒殺してやるよっ!』
逆切れする魔神。
だから、子供って嫌いなんだよ。
希美にしても、トールにしても・・・・
「何、ごちゃごちゃいってるの?」
やばい、感づかれた。
目を閉じて死んだふりをする・・・・
これって、熊の時じゃなかったっけ・・・・
自分に突っ込んでみたりする・・・・
「ふうん、この黄色い玉は何かなっ」
わたしの手を踏みつける。
痛いよ・・・・・
「なんかしようとしてたんでしょ?
わかったわ。
そんなに死にたいんなら、
おまえから始末してやるよ!」
ナイフを振り上げる女。
だめっ、
やられるっ。
でも、そのナイフは届かない。
いきなり女は吹っ飛ぶ。
「待たせたね」
見上げると、わたしの傍に沙耶香さんが立っているのがわかった・・・。