36 魔女たちの敗北
「ミイナ様っ!」
石像となったリーダーにすがりつく隻眼の副官。
「だから言ったじゃない。
サリ様には触るなって…」
リディアの後ろには、結花さんが腕組みをして立っている。
「特に魔眼はサリ様には効かないからね。
魔眼はすべて跳ね返してしまうの。
だから、他の魔女たちは恐れたの…
自分たちを滅ぼす力としてね…
それに私たちの村には将軍として私、そして軍師リンがいた。
わたしたちは、自分の居場所である小さな村を守りたかっただけなのにね。
攻めてきた序列1位を倒してしまった。
それを魔女たちは恐れたの。
力の均衡が崩れたことをね。
だから6人の魔女が手を組んで、帝国の剣神を呼び寄せたの。
それでも、わたしたちをここに飛ばすのが精一杯だったわ。
元にもどす方法ってあるの?」
首を静かに横に振るリディア。
「元に戻すのは…わからない…ミイナ様は石にするだけ…」
「そう…」
ちょっと考えるような素振りで結花さんはうなづく。
将を失った副将リディア…その肩は悲観に震えている。
圧倒的な王。それが負けることを彼女たちは想定していなかった。
その気持ちは、魔女サリの副官であった結花さんにも十分にわかる。
でも、さっきの子、美月の力が頭をよぎる。
サリ様の魔眼の力もすごいが、あの子の力も…
世界を変える力かもしれない…
そう思いながら、結花さんは唇の端を緩める。
「試合は終わりだよ。
LOVE★WITCHESの勝ち。
北の魔女たちは投降しなさい!
でないと、わたしが相手をするよ。
魔女サリ様の名においてね」
結花さんが大きな声をあげる。
わたしたちはその場面にようやくたどり着く。
試合には間に合わなかったけど、これでLOVE★WITCHES全員が揃った。
もう、北の魔女軍団には、万にひとつの勝ち目もない。
「わたしたちの負けですね」
肩を落とした副官が小さな声で敗北の宣言をした。