35 魔眼の雫
わたしは急いで、戦いに戻る。
その途中に立つ、4つの石像。
沙耶香先輩。
美那子先輩。
睦美先輩。
麻衣先輩。
その前で足を止める。
LOVE★WITCHES最強の先輩たちがこんな姿に…
あいつらにわたしで勝てるの?
先輩たちに問いかける。
石像になってもあきらめない表情の先輩たちを見てると、また涙が出てくる。
「沙耶香先輩…どうすればいいの?
う…う…、えっ…えっ…」
沙耶香先輩に抱きついて泣き出すわたし。
冷たい石の感触。わたしの涙が沙耶香先輩の胸元に落ちる。
そのとたん、わたしの後ろ頭に柔らかい手が当てられる。
抱きついてる石の感触もなくなって、暖かい人の感触に…
「泣いてんじゃないよ。行くよ」
沙耶香先輩がわたしの顔を覗き込んで微笑む。
そっとわたしの目尻に触れる指。
その指で他の先輩たちに触れる。
すると、石像だった3人の先輩も元に戻る。
「美那子先輩…えっ…えっ…」
美那子先輩にも抱きつく。
「ありがと。美月っ」
美那子先輩がわたしを抱きしめる。
睦美先輩はわたしの頭をコツンと叩く。
麻衣先輩もわたしに微笑みかける。
「いくよ。もう負けないからね」
美那子先輩が手を出す。
その手に次々に手を重ねる先輩たち。
わたしもその手に掌を重ねる。
その上から重ねられる手。
いつの間にか、春香と胡桃が後ろに立っている。
「じゃあ、いくよ。おーっ!」
7人は円陣を組んで、大きな声で叫んだ。