30 優菜vsメディア(2)
「わたしのゴーレムは岩。
氷なんて脆いものでは倒せないよ」
メディアは、ゴーレムの後ろで腕を組んで立つ。
優菜は左右に動き、その死角を探ろうとする。
「アイススピア!」
今度は剣ではなく、長い槍を出現させる。
ナイフでは、あの巨大な敵には対処できない。
優菜は最大の飛び道具を用意する。
指で天をさし、ゴーレムに向かって腕を振る。
発射される氷の槍。
それは、ゴーレムの中心を逸れて、腕の付け根に当たり砕ける。
さっきのナイフとは違って、その威力でゴーレムの腕が吹っ飛ぶ。
やった!
そう思ったのも束の間。
みるみるうちに腕が再生していく。
道路の砕かれた瓦礫。材料はいくらでもある。
飛び道具は効かない。
そう判断した優菜は、ゴーレムの元に駆け込む。
ゴーレムは腕を振る。巨体のわりには速い。
優菜をつかもうとする。
優菜はそれを飛び上がって避ける。
わたしたちの同期の中でも天才的な身のこなし。
わたしや春香や運動バカの胡桃にも引けをとらない。
すれ違いざま、優菜は手の平をその腕に当てる。
「フローズン・ワールド!」
触れた相手を凍らせてしまう必殺技。
しかし、ゴーレムに変化はない…
「残念!石は凍らないよ」
首を左右に振りながら、余裕のポーズを決めるメディア。
これで、優菜の打つ手はなくなった。
フローズン・ワールドの協力版『絶対零度』もたぶん効かない。
ゴーレムの腕が、また優菜を襲う。
逃げるしかない。そして、ゴーレムを躱して、メディアを攻撃。
それしか方法はない。
でも、そんなに簡単にはいかない。
このゴーレム…強い。魔獣って言うにはあまりにも強すぎる。
何度もゴーレムの攻撃を避ける優菜。
優菜の動きに疲れが見え始める。だんだん躱し方が間一髪になる。
さっきのフォース使いに加えて、激しい攻撃を避けているんだから…
捕まるのは時間の問題。
なんとか逃げる優菜。
でも、こんな状況でも目は死んでいない。どんな状況でも絶対にあきらめない!これがLOVE★WITCHESだ。
「わたしの力ってゴーレムだけだと思う?」
メディアが意味深につぶやく。
「そろそろ、終わらせるよ。もう十分に絶望を味わっただろうからね。
しょせん、東都のぬるい魔女じゃ。ここまでだよ。ミイナ様の足元にも及ばない。
むしろ、前の2人は頑張ったとおもうよ。あんたもね。でも、ジ・エンド。
ご愁傷様。ハハハ」
飛んでゴーレムの腕を交わす。
優菜は、腕の過ぎ去った後に着地する。
着地した地面が変化する。地面から腕のようなものが伸びて、優菜の足を掴む。
転倒する優菜。
その優菜を踏みつけようと、ゴーレムの足が振り下ろされた。