26 希美vsライア(2)
「これまでだな。小さな戦士よ。
いい勝負だった」
ライアが青龍刀を構えていい放つ。
希美はライアの言葉に首を横に振る。
それから、立ち上がって、また大剣を構える。
脚が小刻みに震えている。
もう、体力の限界を超えているんだろう。
もう、無理だよ。
でも、希美が負けたら、勝負は終わり。
LOVE★WITCHESがやつらの傘下に入るってこと。
「無駄だ。東都の剣士よ。もうおまえの攻撃はかすりもしない」
残念そうに言う。
希美は、そんなことを言われても相手を睨み続ける。
その目は死んではいない。
そう、LOVE★WITCHESの中では希美が一番年下だけど…
その根性はリスペクトに値する。
最初、こんなに歌もダンスもトークもダメな子がどうしてLOVE★WITCHESのメンバーなのって思ったこともあった。
私たちは、LOVE★WITCHES。強さだけでなくアイドルなんだ。
その人気が超法規的な存在を肯定する根拠となる。
安城さんの受け売り…。難しいことはわからないけど、そういうことらしい。
剣の天才と言われる希美。
でも、それだけで終わらない。
暇があれば、道場で麻衣さんに挑戦する。
ダンスや歌も栞と一緒に特訓しているのも知ってる。
歌はまだ小学生レベルだけど、ダンスは様になってきている。
剣技も同じ。
麻衣さんは希美の才能を高く買っている。
日に日に強くなる希美の可能性を…
「死にたくなければ、引けっ」
たぶん、相手も希美の才能には気づいている。
純粋な武人は、希美を殺したくないんだ。
しかし、希美は引かない。
相手を大きな瞳で睨んでいる。
その表情には、いつもの希美の不敵さが戻っている。
この表情の時の希美は強い、勝利を確信していると言っても良い。
「仕方ない…では終わらせよう。」
偃月青龍刀を構えて全身する。
希美も大剣を構えると思ったら、大剣を地面に突き刺す。
脇差に手をかけて、前に走る。
相手の突きのスピードに合わせて、希美もスピードに賭けたの?
両者がぶつかる。
でも、剣のぶつかる音はしない。
静止する二人、ライアの偃月青龍刀は希美が素手で掴んでいる。
無刀取り…希美と麻衣さんが研究していた極意。
ライアはその刃を引き抜こうとするが、微動だにしない。
力任せのライアと怪力の希美。
その力に耐え切れない刀の柄が折れる。
それを合図に希美は脇差を抜いてライアの懐へ突っ込んだ。