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LOVE★WITCHES (魔女アイドルグループの物語)  作者: PYON
第8部 北の魔女ミイナ
256/344

25 希美vsライア(1)

 戦闘場所は、中央公園前の交差点。

 いつもは、途切れることのない人、車の群れ。

 でも、今は軍隊によって封鎖されて絶好のコロセウムとなっている。


 スクランブル交差点の中央に立つ背の高い仮面の魔女。

 春香と戦った、あの武人だ。

 仮面を取り、仲間に放り投げる。

 黒のストレートヘヤーに鋭い目。

 巨大な偃月青龍刀を構える。


 いきなり勝負をかけてきた北の魔女軍団。

 たぶん、奴らの中でも最強の戦士。

 ひとりでも負けたら、わたしたちの負け。

 副将リディアに遊びはない。

 考えられる限り、最善の一手を指してくる。


 こっちから歩いていく小さな後ろ姿。

 大道寺希美。

 身体は小さいが、LOVE★WITCHESで麻衣先輩に次ぐ剣士。

 自分の背よりも巨大な剣を振り回す。

 麻衣さんが柔としたら、希美は剛。

 あらゆるものを叩き伏せる剣。


 交差点の真ん中までくると、背中の剣を抜いて正眼に構える。

 無表情に相手を見る。

 そう、人形のような可愛い外見だが、無口で無表情。

 何を考えているのか、外見から読み取ることはできない。

 それも希美の剣の奥義なのって言いたいくらい。

 

「われこそは、武神ライア。

 小さきものよ。

 手加減はしないが、それでいいか」

 ライアが吠える。


 こくんと顔を縦に振る希美。

 こっちは名乗らない。

 いいのか?それで。


 希美がいきなり走り出す。

 大きな剣を振りかぶったまま、飛ぶ。

 どこにそんな力があるのかっていうくらい。

 麻衣さん曰く、要は力の使い方。いくら重い刀でも関係ないらしい。

 そのまま、ライアに向かって振り下ろす。


 相手はよけない。

 偃月青龍刀を構える。

 真っ向から立向かい、力でねじ伏せる。

 それが、武人ライアのスタイルだった。


 武器と武器がぶつかり、金属音とともに静止する。

 どちらの勝ちでもない。

 拮抗した力はただ物体の運動を止める。

 武人はニヤリと笑う。

 希美も不敵に笑う。

 刃先同士を接触させている武器たち。

 一ミリでも狂ったら、戦闘のバランスは崩れる。

 剣の奥義は、相手の態勢を崩すことと言われる。

 この達人たちは、お互いにぎりぎりのところでそれを防いでいる。


 どちらからでもなく、剣を払って離れる。

 そのまま静止していても勝負は決しない。

 仕切り直しだ。


 今度はライアの方から、青龍刀をついてくる。

 希美の力はわかっている。だから、最小限の動き、突きで攻撃する。

 希美は、大剣を構えたまま動かない。

 いや、片手は腰の短刀の柄に添えている。

 大道寺の奥義は短刀にあり。

 この前のBLACK★WITCHESとの戦いで見せた技。

 希美の力は、剛剣だけでない。

 一瞬の閃光のように刃がきらめく。

 希美の短刀がライアの青龍刀の軌道をずらす。

 槍のように長い武器は、一度躱されると次の攻撃に移れない。


 希美は片手で大剣を振り回す。

 もう、青龍刀でうけることはできない。

 でも、希美も片手で大剣を扱っているので普通ほどの技のキレはない。


 すぐに引いた青龍刀で、間一髪防がれる。

 これが、剣豪の戦い。普通の人には、彼女たちの細かい動きは見えない。

 ただ、2回剣を交えただけに見える。でも、その中には無数の駆け引きがある。

 ひとつ間違えたら終わってしまうくらいの…


 その後も何回か同じような攻防は続く。

 相手の力は、その刀を振り回す速さ。スイングスピードだ。

 変幻自在に攻撃を繰り出してくる。

 今のところ力は互角。

 たぶん、ちょっとした違いが勝敗を分ける。


 希美の顔に焦りが見える。

 相手の攻撃は変わらない。しかし希美の攻撃に冴えがなくなってくる。

 それは体力の差。あの小さな身体で、大きな剣を振り回すんだから、持久戦には弱い。


 ライアが連続して青龍刀を払う。

 その攻撃を受けそこねた希美は、大きく弾き飛ばされた。

 


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