24 最後の砦
魔獣は再び歩き出す。
東都の中心に向かって…
壊れた戦車を前に、軍部も警察もお手上げ。中央と連絡を取るが、有効な指令は届かない。
都市化された組織の弱み。誰かが責任をとって物を言うことはない。
高度に力の均衡ばかり気にした合議体はこのようなテロには、無策だ。
たぶん、東都では会議に次ぐ会議になっているんだろう。
そんなことは、北の魔女には関係ない。
この東都を侵略し、自分の領土とするだけ。
その前に戦場に似つかわしくないピンクのワゴン車が止まる。
ドアが開いて、降りてくる少女たち。
その先頭には、卑弥香社長がいる。
魔女たちを刺激したくない軍部や警察がそれを止めに入る。
卑弥香社長に付き従う安城さんが、それを止める。
もう、LOVE★WITCHESしか、こいつらを止められない。
社長の後ろをLOVE★WITCHESの5人が続く。
リーダーは全員石になったけど、残ったメンバーも実力者ぞろいだ。
一癖も二癖もある魔女の軍団。
それだけでなく、遅れて到着した黒のワゴン。
そこからは大和さんを筆頭としたDEEP@BLUE。
黄色のワゴンからは、愛梨さんを筆頭にBLACK@WITCHES。
東都の危機に最強の味方たちも駆けつける。
これが、東都の最後の砦というように魔獣の前に立ちふさがる。
その姿をみとめた北の魔女たちが魔獣からひらりと舞い降りる。
「まだ、魔女がいるの?さっきので分かりましたよね。
おとなしく、ミイナ様の傘下に入りなさい。
悪いようにはしませんよ」
眼帯の副官が丁重に卑弥香社長に話しかける。
「あなたたちこそ、帰りなさい。
ここはLOVE★WITCHESが守ってるの。
あなたたちに東都の平和は乱させない」
はっきりと通る声で社長は告げる。
「それより、沙耶香をこんなにしやがって、早く戻せよ!
ぶっ飛ばして、戻し方を聞いてやろうか!」
大和が吠える。本気で切れてるモードだ。
「社長、ぶっ飛ばしちゃおうよ。いろいろ考えるの面倒だし」
ハンマーを振り回す愛梨さん。
そんな2人を社長が制止する。
「これはLOVE★WITCHESの問題。
LOVE★WITCHESが片をつけるわ」
「ふうん、何度やっても同じだと思うけどね」
ミイナがつまらなそうに言う。
「たいした自信ね。
それじゃあ、1対1の試合なんてどう?
乱戦なんて街を壊すだけだし。
もし、5人がひとりでも負けたらLOVE★WITCHESはあなたたちの傘下に入るわ」
卑弥香社長はとんでもないことを言い出す。
でも、なんか考えがあるんだと思う。
「いいわ。それで」
「ミイナ様…」
リディアが止めようとする。
でも、すかさず卑弥香さんが口を挟む。
「じゃあ、決定ね」
相手に有無を言わさず、くるっと背を向ける。
それを合図に魔女たちの死闘は始まった。