表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LOVE★WITCHES (魔女アイドルグループの物語)  作者: PYON
第8部 北の魔女ミイナ
252/344

21 魔眼のしずく

 お店の大画面テレビは、魔女たちの様子を写している。

 さっきの美那子さんや沙耶香先輩の戦いも、すべてニュースとして生中継されていた。

 東都の危機。わたしもLOVE★WITCHESの一員。黙って休んでられない。


「いかなくっちゃ」

「無理よ」

 結花さんがすかさずにわたしを止める。

「でも…でも…」

「大丈夫だから。それに…」

 わたしの目の前には3つの玉。

 それは、白くなって輝きを失っている。

「この人が回収してきてくれたんだけど、石化してるわ」

 ヒゲのシェフはすまなそうな顔でわたしに会釈する。

「ありがとうございます」

 わたしは渡された三つの玉を抱きしめる。

 あとの光球もあの黒い針に貫かれて使えるかどうかわからない。

 でも、それでも…


 春香も立ち上がろうとする。

 胡桃も同じ。

 指一本でも動く限り、私たちはあきらめない。

 そうでないと、LOVE★WITCHESじゃない。


 わたしが一番ましみたい。

 なんとか、奴らの前に…


「どうしても行くの?」

 結花さんがわたしに問う。

「はい…」

「じゃあ、わたしくらい倒せるよね。それくらいじゃないと足でまといになるだけだよ」

 厳しい目でわたしを見おろす。

 さっき、やつらに対峙したときみたいに威圧感たっぷりの目。

 こんなに怖い人だったんだ。

 やつらが引いたのもわかる。

 わたしは立ち上がり、結花さんとにらみ合う。


 結花さんの横を抜けようとする。

 その手首を掴む手。

 その握力の強さに顔をしかめる。

 そのまま、わたしの身体が宙を舞う。

 手首の動きだけで投げられてしまう。

 この人の強さ、半端ない。

 

 わたしは受身をとって一回転し、すぐに立ち上がる。

 たぶん、結花さんが本気なら一撃で殺られていた。

 

 今のわたしではこの人を倒すなんて無理。

 わたしはLOVE★WITCHESなのに…

 東都をまもらないといけないのに…

 目に涙が溜まる。

 それが、抱えている3つの玉にポタリと落ち濡らす。

 その落ちたところから、白く濁った玉は輝きを取り戻していく。


「魔眼のしずく…あなたも…」

 結花さんがつぶやく。

 

 わたしの周りには7つの玉が現れる。

 戦闘上等っていうように、みんな闘志がみなぎっている。

 絶対、結花さんを抜けてやる。

「結花さん、じゃましないで、いかなきゃ、ならないの」


「わかったわ…」

 わたしの道を開けてくれる。


「ごめんなさい…」

 わたしは、すれ違いざま、そう言って、お店の扉を駆け抜けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ