20 魔女たちのお茶会
道路はもう警察が閉鎖していた。
先輩たちが時間稼ぎした間に…
遠巻きに、取り囲む警官たち…
街には、早くも戒厳令が敷かれていた。
LOVE★WITCHESの4人のリーダーが石にされた今。
特殊部隊にもどうすることもできない。
とりあえず、魔女を刺激しないようにしている。
DEEP✩BLUEとBLACK★WITCHESと残ったLOVE★WITCHESも呼ばれているけど、待機ということになっている。
最後の切り札ということだ。最強の敵に卑弥香さんも慎重になっている。
たぶん参謀の安城さんの指示。
連絡を取り合う私服警官たち、緊張感がみなぎっている。
それに比べゆっくりとまわりを見回しながらゆっくりと進む魔女たち。
こっちは、観光をするように緊張感のかけらもない。
「リディア。お腹すいた」
「ミイナ様、兵糧を用意します」
「いやだ。あれがいい!」
ハンバーガーショップを指差す。
「あれもいいな。あれも」
ドーナッツショップ。牛丼。アイスクリーム店
「全部とってくりゃいいじゃん」
一番、小さな仮面の魔女が言うか言わないかの間に、残りの4人は飛び出している。
まさに狩猟するように、目的に向かって散る。
仕方ないなというように薄く笑う眼帯の副官。
締める時は締めるが、緩めるところは緩める。
リーダー3人を下す力だけでなく、副官としての力量も相当なもの。
ロケットのように通りから散った5人は、一直線に狙った店に向かう。
店の方も潰されてはかなわないというように、要求どおりに商品を詰め込む。
しばらくして両手いっぱいに商品を持って飛び出してくる魔女たち。
通りの真ん中で待つ魔女の前に集まる。
色とりどりの袋に入った食べ物に、魔女の顔がふわっと柔らかくなる。
こういうところは私たちと変わらないのかな。
その場で、お茶会が始まる。
「何、これっ…おいしい。これも…こっちも」
初めて食べるファーストフードに、ご満悦の魔女たち。
こうやってみると、征服者という感じはしない。
特にお気に入りのドーナッツを口のまわりをクリームいっぱいに頬張る姿は微笑ましくうつる。
副官のリディアが甲斐甲斐しく口のまわりを拭いたりする。
栞や希美とあんまり変わらないようにも思える。
他の仮面たちも同じ、つぎつぎと食べ物の山が片付いていく。
特にライアという武人の食べ方は半端ない。
フードファイターになれるくらいの食べっぷり。
牛丼って飲み物だった?って思うくらいのスピード。
くいしんぼうで通っている胡桃だってかなわないかも。
とりあえず足止めとなっているうちに、どんどん避難は進んでいく。
そろそろ駅前広場にかかりそうなところだったけど、いつも絶えることのない人ごみはなくなっている。
広場で準備する残りのLOVE★WITCHES。
作戦を伝える安城さんにうなづく5人。
こっちも準備完了みたい。
リベンジの開始。このままじゃ。終わらない。
私たちはLOVE★WITCHESなんだ。
5人は、円陣を組んで気合をいれ、魔女たちを待ち構えた。